実家は阿武隈の町の床屋。店内にジョン・レノンが描いたレノンとヨウコの絵が飾ってある=写真。もちろん、ただの印刷物だ。もう何十年もそこにある。兄に散髪してもらいながらなにげなく見ると、絵の下に英語で2行、大きく「ジョン・レノン」、小さく「トゥー・イズ・ワン」とあった。初めてタイトルを知った。
なるほど、「二人で一人」、いや「二人は一つ」か。1969(昭和44)年に結婚した直後に描かれたものらしい。
二人が一つになってさらに高いレベルをめざす、それを「愛の弁証法」という――なんて「迷言」を、後輩の結婚披露宴で口にしたことがある。「トゥー・イズ・ワン」だ。
孫がいる年になってみると、「トゥー・イズ・ワン」は、「愛の弁証法」というよりは「福祉的弁証法」に変わった。忘れ物が増えた。カミサンがカバーする。逆もある。古いセーターはほころびやすい。それと同じで、一人ではほころびを防ぎきれない。人生の夜明けには「半人前」だったのが、人生の日暮れには「二人で一人前」に変わった、いや戻った、か。
ま、それはそれとして、フェイスブックでレノンの「ハッピー・クリスマス」を聴いた。「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」ともいうらしい。戦争とはベトナム戦争のことだ。10年以上前になるが、自分で買ったか誰かにもらったかして、この歌の入ったレノンのCDを週末、夏井川渓谷の隠居で繰り返し聴いた。それを、このクリスマスに思い出した。
「高砂や……」と歌われる謡曲がある。熊手(福をかき集める)を持った翁(おきな)とほうき(邪気を払う)を持った媼(おうな)が登場する。縁結びや長寿・和合のシンボルだが、「家庭内高齢者福祉」をも意味するものだった。「トゥー・イズ・ワン」を、今の心境に照らして意訳すると「友白髪」になる。
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