12月最後の日曜日には、いわきキノコ同好会の総会・勉強会・懇親会が開かれる。今年は27日だった=写真。
個人で知り得るキノコ情報は限られる。山の斜面を上ると息が切れるようになってからはなおさらだ。同好会の仲間に会えば、今年のキノコの発生状況がどんなものだったかを、あらまし知ることができる。勉強会では、3回の観察会を通じて確認された(不明菌も含む)キノコがスライドで紹介された。
同好会が発足したころは、キノコの食毒と観察会の場所に興味のある人間が多かった。ひととおり勉強すれば、同好会を“中退”して一人歩きをしたい。そういう人間もいれば、別の組織に移る人間もいた。食欲はもちろんだが、色・かたちも含めてキノコそのものを知りたい、調べたい、という人間が残った。
原発事故がおきてすぐ被害に遭ったのが、キノコではないだろうか。カリウムの代わりにセシウムを取り込んでしまう。そんなキノコが多いのか、いまだに野生キノコは摂取・出荷制限が続いている。
先日、阿武隈高地の実家へ帰ったら、雑キノコが袋に入って置いてあった。「湯通ししたものをもらい、さらに自分でも湯通しをして検査した。ND(不検出)だった」という。湯通しをすると線量が下がる。2011年暮れのキノコ同好会の懇親会で、仲間が早々と“実証報告”をした。「ただし、キノコの味はなくなっていたが」
勉強会では――。ウスキブナノミタケ、シロナメツムタケ、キウロコテングタケ、シロアンズタケ……と、初めて聞く名前のキノコが少なくなかった。図鑑を見ても同定できない不明菌もあったという。それで、仮に「キイロイッポンシメジ」と名付けたものもある。毎回、勉強会で感じることだが、キノコは未知の分野の方が広く大きい。だからこそ引かれるのかもしれない。
全体的な傾向としては、今までの経験則が通じなくなりつつある、ということだった。温暖化が関係しているのではないだろうか。夏はより暑くなった。秋は雨が降ってもすぐ森が乾く。タイミングが難しい。観察会を半月は前倒ししないとキノコに出合えなくなっている(数が少なくなっている)という。
そのなかでも、ルリハツタケが里山に発生するという話に引かれた。愛菌家あこがれの“美菌”だ。それだけで市外の愛菌家をいわきに引き寄せる力があるらしい。昔はよくその里山を歩いたが、瑠璃色のキノコには一度も出合えなかった。
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