2017年4月27日木曜日

暴風のツメ跡

 ほぼ9カ月前から、いわき市の防災メールサービスを利用している。朝起きるとチェックする。強風注意報が発表されてから、実際に風が吹き始めるまでには数時間のズレがある。そうでないときも、もちろんある。が、メールサービスを利用してから、そんな“推測”が身についた。
 ちょうど1週間前の4月19日がそうだった。朝10時過ぎ、暴風警報が発表された。これが、強風注意報に切り替わるのは20日午前2時前。夜が深まるにつれて風が強くなった。夏井川渓谷に家のある友人が「台風以上の暴風」のなかを帰宅した。停電していたという。

 わが隠居は友人が暮らす集落と隣接する集落にある。風の影響はどうだったか。ブレーカーは、庭のキリの木は? たぶん大丈夫、屋根に木が倒れていれば近所の住人が連絡をくれるはず……。とはいっても、気がもめる。次の日、確かめに行った。

 さいわい何事もなかった。別の集落の知り合いが近くにいたので聞くと、「家が持っていかれるかと思った」ほどの暴風だった。やはり、停電したという。
 
 後日、いわき市危機管理課がまとめた「暴風警報経過報告書」を市のホームページで読む。19日は、夜になって「ソーラーパネルが飛んだ」「桜の木が倒れた」「物置が飛ばされた」といった被害情報が災害対策本部に入ってきた。そのころが暴風のピークだったらしい。
 
 災対本部の警戒態勢は、20日午前3時には解除される。そのあと、朝になって好間町川中子(かわなご)の愛宕神社境内入り口にある鐘楼が倒壊しているのがわかった。鐘楼は4本の柱で屋根を支えているだけだ。雨はしのげても風がもろに吹き抜ける。暴風に屋根が持ち上げられるようにして柱が倒れたか。県重要文化財に指定されている銅鐘は無事だったようだが、鐘楼は無残な姿をさらしていた=写真。

 愛宕神社の隣の地区公民館の庭には川中子出身の詩人猪狩満直の詩碑が立つ。鐘楼がやられたくらいだから、詩碑も倒木被害に遭っているのではないか。ニュースで鐘楼倒壊を知り、そちらが気になって見に行ったのだった。詩碑は無事だった。
 
 鐘楼の所有者は地元の行政区だ。行政区だけで鐘楼の修復は可能だろうか。わが行政区だったら……などと、役員の胸の内がしのばれた。

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