2017年10月31日火曜日

「紅葉情報」には二つある

 10月に入って、テレビが「紅葉情報」を伝えるようになった。カエデのイラストが付いている。先日、夏井川渓谷は福島県内で最も遅く、「青葉」から「色づき始め」に変わった。
 この紅葉情報には“注釈”が要る。イラストが示すように、カエデ限定だ。紅葉するのはカエデだけではない。むしろ非カエデの紅葉の方が山を美しく彩る。色づくのも早い。

 きのう(10月30日)午前、台風22号の影響の有無を確かめに、渓谷の隠居へ行ってきた。1週間前に台風21号が通過したときには、庭のネギがほとんど倒伏していた。今回は、途中の道に杉林の落ち葉もなく、ネギも無事だった。

 隠居の対岸は紅・黄・茶・その他、暖色系の色で染まっていた=写真。ツツジ類やヤマザクラなどの非カエデの紅葉としては、今度の週末あたりがピークだろう。県道沿いのカエデも確かに色づき始めていた。隠居の隣にある「錦展望台」では、コンテナハウスの店が営業を始めた。

 渓谷の名勝「篭場の滝」のそばに、随筆家大町桂月の歌碑が立つ。「散り果てゝ枯木ばかりと思ひしを日入りて見ゆる谷のもみぢ葉」。この歌のように、カエデは、落葉樹の中では紅葉が最も遅い。それを見にいくころには、ほかの紅葉は散り果てて初冬の風景に変わっている。

「紅葉情報」には二つある。一つはカエデ。もう一つは非カエデ。カエデ狙いのカメラマンはともかく、一般の行楽客にとっては今が見ごろだ。カエデ抜きでも全山燃えるような錦繍(きんしゅう)を楽しむことができる。

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