いわきの在来ネギの種まき日は決まっている。春まきの「いわき一本太ネギ」は4月10日。秋まきの「三春ネギ」は10月10日。生産者から教えられたことだ。
「いわき一本太ネギ」は夏井川下流の砂地、「三春ネギ」は夏井川渓谷から山を越えた田村地方の隆起準平原(阿武隈高地)で栽培されている。おおよそ20年前から、渓谷の隠居で自家採種をしながら「三春ネギ」をつくっている。
今年(2017年)は、車で5分ほどのところに地元の種苗店が移転してきたので、そこで売っている「いわきねぎ」(いわき一本太ネギ)の種を買って、プラスチックのポット苗床にまいた。覆土と水やりが不十分だったため、半分も発芽しなかった。
それを頭において、10日前の日曜日(10月8日)、「三春ネギ」の種をまいた。去年(2016年)は筋まきながら、点まき気味に間隔を置いて覆土した。それがよかったらしい。太い苗ができた。
週末からきのう(10月17日)午前まで、街から離れられなかった。で、きのう午後、様子を見に行った。ちゃんと発芽していた。
ネギは発芽のかたちがおもしろい。黒い種の殻を破った根はいったんヘアピンのようなかたちで地上部に姿をあらわす=写真。記号の「∩」に近い。「∩」は主に数学の確率に用いられる記号で、「キャップ」というらしい。
その後、根の部分は下へ下へと向かい、もう一方の茎の部分は上へ上へと伸びる。地上から離れた芽は最初、黒い殻をかぶったままで「?」のようなかたちになる。やがて殻を落とし、シャキッと一本立ちする。
種をまいて安心し、芽が出てホッとする。師走には寒冷紗をかけてやる。そうして越冬すれば、春には太いネギ苗ができるだろう――そんなことを想像しながら、初夏に定植した「三春ネギ」を数本引っこ抜いて帰ってきた。
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