2017年10月14日土曜日

空中の陶芸教室

 きょう(10月14日)は二つのイベントに参加する。酔った勢いで安請け合いしたら、同じ日だった。両方のイベントに関係する若い人に時間がかぶっていることを指摘されてあおざめた。で、時間を調整してもらった。
 いわき市平・祢宜町のいわきピットで吉野せい原作の「洟をたらした神」上映会&トークショーが開かれる。トークショーに出る。終わるのは午後3時10分。平・三町目のアートスペースもりたか屋では、「まちなかアートフェスティバル玄玄天2017」の開幕に合わせて、「いわきの現代美術の系譜~緑川宏樹編~」と題したトークイベントが開かれる。

 緑川についてのトークイベントは、2時からの基調講演(第一部)と、3時15分からの座談会(第二部)で構成されている。吉野せいを語り、場所を移して緑川宏樹を語る。いわきピットからは、迎えに来た車で移動する。「紅白歌合戦に出る歌手と同じじゃないですか」というスタッフのことばに、穴があれば入りたくなった。

 吉野せいは「百姓ばっぱ」を自称する作家、緑川宏樹は前衛陶芸家だ。吉野せいについては、短編集『洟をたらした神』が田村俊子賞を受賞したとき、取材をした。緑川宏樹については、いつの間にか飲み友達になっていた。昭和49(1974)年から50年にかけてのことだ。

 そのへんの経緯を確認するために、勤務していたいわき民報社の新聞(縮刷版)に当たった。

 緑川卓志・宏樹という陶芸家が、突然、いわきに現われる。祖母の出身地であるいわきの小川町に卓志が窯を築く。宏樹があとから合流し、宏樹はやがて街のなかに陶房を構える。その初期、いわき民報社が陶芸教室を主催した。新聞掲載の社告でまず二人の名前を知った。

 陶芸教室は最初、小川の陶房で開かれた。やがて小川は遠いという声が上がり、平(現いわき)駅裏に「平教室」が設けられる。この建物がふるっている。空中に出っ張った“砦”だ。一度だけ宏樹に誘われて出かけたことがある。なんとなく落ち着かなかったことを覚えている。おととい(10月12日)、どんな建物だったか確かめに行った=写真。

 この建物の話をするわけではない。ただ見ておきたかった。にしても、変わった建物だ。急な外階段の昇降口に、「福島県行政書士会員 交通事故取扱事務所」とあった。今は使われている気配はないが、草刈りなどはちゃんとされているようだ。

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