新聞で夏井川に合流する新川でカミツキガメが捕獲されたという記事を読み、あれこれ考えた日の午後、庭で一休みしていると、何か変なものが目に入った。
わが家と隣家の間には車1台分の小道がある。その小道をアリの行列が斜めに横断していた。始まりはどうやら庭の電柱の根元あたりだ。
行列は隣家のコンクリート塀の根元に沿ってのび=写真、隣家の玄関前の駐車場あたりで見えなく(わからなく)なった。
隣家は、ふだんは空き家になっている。住人が亡くなってしばらくたつと、車も処分されて、空きスペースになった。屋根が付いているので、直接、雨が地面にしみることはない。
そんな環境を見つけたわけではないだろうが、電柱の根元からはざっと10メートルは離れている。
アリは、普通のアリよりかなり小さい。アミメアリという種類だろうか。アミメアリは巣を持たないそうだ。そして、ときどき移動する。
電柱の根元には甕(陶器)のかけらが積み重ねてある。かけらをはがすと、アリたちがわんさといた。そこをすみかにしていたのだろう。引っ越しの理由はわからない。
どうも6月になると、アリの引っ越しが見られるようだ。自分のブログを確かめると、震災の翌年(2012年)、やはり今ごろ、アリの行列を目撃している。そのときの文章を要約・再掲する。
――わが家の庭に「アリの行列」ができているのに気づいた。前日夕方には雨で車のタイヤがつくったくぼみに水たまりができた。さすがにそこには、アリはいなかった。
なぜアリたちはそんなことをするのか。理由をあれこれ考えたが当然、わからない。専門家ではない人間には、「わからない」ことがとても大事になる。いや、専門家も「わからない」から研究を進めるのだろう。
アリはどこから来て、どこへ行くのか。「行くアリ」と「来るアリ」とがぶつかり、すれ違いながらうごめいていた、一方向ではない、双方向だ。
台風の影響で雨がポツリ、ポツリときたころ、行列の先がどこにあるのかを探った。南(庭)―東(生け垣)―北(店の前の犬走り)―西(犬走り)。よくわからないが、わが家の周りを一周しているだけではないのか。つまり、「堂々巡り」をしているように思われた――。
写真を見ると、これもアミメアリらしい。すると、このときも庭のどこかから、新しいすみかを見つけ、そこへ移動する途中だったのではないだろうか。
いずれにしろ、人間が甕のかけらをそこに置いたら、アリたちがすみかに利用した。人間のふるまいが生きものの営みに影響し、それがまた人間に影響を及ぼす。カミツキガメの場合は、その悪しき例だが。
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