2010年4月23日金曜日
化石館リニューアル
いわき市石炭・化石館(愛称「ほるる」)がきのう(4月22日)、リニューアルオープンをした。3年前だったか、リニューアルのための懇談会が組織された。その一員だったので案内状が来た。
今にもみぞれになりそうな雨の中、建物の入り口前で式典が行われた。屋根はあっても外気にさらされる場所だ。寒さが身にしみた。それはさておき、リニューアルした館内を見て回るうちに、懇談会での議論が少しよみがえってきた。
いわきは一世紀以上にわたって炭鉱産業が栄えたところ。と同時に、海竜(首長竜)をはじめとする化石の宝庫だ。化石燃料である石炭と、さまざまな化石を、自然史の流れに沿ってきちんと展示・紹介すべき、というのが懇談会の主提言だった。
そして、ユニバーサルデザインへの注文。1階から2階へ行くのに、既設の階段だけではなくエレベーターが新設された。車いすで来る人への配慮だ。
目玉はなんといっても1階の化石展示室だろう。いわきで発見されたフタバサウルス・スズキイをはじめ、全長22メートルの巨大草食恐竜・マメンチサウルス、巨大ナマケモノのエレモテリウムなどが群居している。その全体を2階から見られるようになった。これも提言の成果だ。
が、ほんとうの目玉はレプリカではなく、実物だ。白亜紀前期に生息していたという頭でっかちの大型翼竜・アンハングエラ(翼を広げると4~5メートルほど)=写真左=と、ジュラ紀後期に出現した、鳥類のコサギを思わせる小さな翼竜・ランフォリンクス(翼を広げれば40~175センチメートル)=写真右。
昔、化石の専門家から実物とレプリカの違いを教わった。本物は無限に情報を秘めているが、レプリカは一つの情報しか持っていない。この実物を見たくて世界中から研究者がやって来るという。
「ほるる」が世界に誇る超一級品なのに、リーフレットにはなんの記述もない。これでは市民も胸を張って観光客に紹介できないだろう。さりげなく、でいいから、どこかに研究者垂涎の的であることを明記しておいてはいかが。
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