2010年4月24日土曜日

ツバメとツグミ


寒さの冬と光の春の綱引きが延々と続いている。木曜日(4月22日)もいわきの山間部は雪に見舞われた。ちょうど一週間前、水石山が冠雪していたので、満開のソメイヨシノの花を入れて撮影した=写真。桜と雪の組み合わせは、いわきの平地ではほとんど考えられないことだ。

天候不順は渡り鳥にも影響を与えている。少しずつ春の気配が濃くなり、夏鳥のツバメが飛来した。一方で、冬鳥のツグミがいまだにとどまっている。ツバメとツグミが同時に飛び回り、雪や雨にぬれる――。いわきではめったに見られない光景だろう。

それで思い出すのは、明治40(1907)年5月、読売新聞に入社した竹久夢二が浜通りをルポして歩いたときのことだ。内海久二著『夢二 ふくしま夢二紀行』(歴史春秋社刊)によれば、夢二は松島の帰り、浜通りを南下する。相馬に入ったときの光景を、内海さんは夢二の文章を受けてこう記す。

「夢二は相馬地方の子馬の群れが柔い夏草を踏んで楽しげに、走ってるのを見たり、天候異常なのか、相馬の山々の見るからに涼しそうな積雪を車窓から見ています」。5月に山が冠雪していた。まさか、そう見えただけではないのか――と読み流したが、今年のような天候不順を体験すると、5月でも冠雪がありえるように思えてくる。

そんなことになったら、農産物は冷害に見舞われやしないか。今までの天候不順よりこれからの天気の方が心配になってきた。杞憂ならいいのだが。

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