2010年7月30日金曜日

「井上ひさしの世界」展


いわき市立草野心平記念文学館で「井上ひさしの世界」展が開かれている(7月10日~9月12日)。昨年の春から夏、仙台文学館で開かれた企画展をそっくり持ってきた=写真(図録)。

今年4月9日、井上ひさしさんが亡くなった。それから3カ月余。没後、最初の展覧会には違いない。としても、草野心平記念文学館の純粋な企画展ではない。

『吉里吉里人』の世界が中心の構成だ。それはそれでいい。が、井上ひさしといわきの関係も、私が知っている限りでは二つある。それを、情報提供というかたちで来館者に伝えられたら、より身近になる、地元館としてのオリジナリティーが付加できる――オープン翌日の日曜日に見に行って、それを感じた。

旧知の学芸員にそのことを告げた。一つは、展示されている井上ひさしの本の表紙絵。「『四十一番の少年』はいわきの画家、松田松雄(故人)の絵だよ」。それと、「昭和46,7年にいわきで講演している。それを取材したから覚えている」。松田松雄の絵だということは、学芸員も本を開いてすぐ分かった。

問題は、いわきでの講演だ。言った以上は、特定しなくてはならない。この3週間、折に触れていわき総合図書館に通い、当時の「いわき民報」を書庫から出してもらい、ぱらぱらやっているのだが、記憶と記録がまったく一致しない。たぶん、記事を見落としたのだ。でなかったら、なまけて記事にしなかったか。それはあり得ない。

講演が始まるとすぐ、本人の写真を取るためにステージのそでから近づいた。と、井上さんがこちらを見てぎょっとした。着ていたのは革ジャン……。そんな40年近く前の断片的な記憶が、今もありありとよみがえる。しかし、肝心の講演の年月日があいまい……。もう一度、当時の新聞をめくるしかない。

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