2010年7月26日月曜日
マメダンゴご飯
阿武隈高地(田村市常葉町)の実家に帰った。義姉の料理に舌鼓を打った。徹底した郷土料理、いや“あるもの料理”だ。ハレではないケの料理(日常食、つまり季節の料理)をつくってくれる。キノコ料理が出た。私がキノコ好きだと知ってのことだ。
一泊二日の初日。晩ごはんにチチタケのけんちん汁が出た。「チチタケがもう採れたの?」と私。床屋をやっている兄夫婦のところへは、なぜか知り合いからいろんなものが届く。チチタケは夏キノコ。採れて不思議ではない。が、人にあげるほど採れたのだろう。それをもらったのだという。
ついでの話。イノハナ(コウタケないしシシタケ)が近所の店に出ていた、という。これには義姉もびっくりした。聞けば、地元の常葉産。梅雨が明けたばかりでイノハナとは――。本来なら、10月下旬に発生する「高級菌」だ。実家に帰ると、こうしていつも、思いもかけなかったキノコの情報に接する。
チチタケは料理が難しい。一度、油で炒めないことにはチチタケのうまみを引き出せない。ボソボソしてうまくないのだ。だから、生をけんちん汁(みそ仕立て)にいれてもまずいだけ。みそ汁はなおのことまずい。義姉は、そんなことは先刻承知で、いったん油でいためてから、けんちん汁をつくる。そうすると、チチタケからうまみ成分がしみ出る。
翌朝は「マメダンゴご飯」(マメダンゴはツチグリ幼菌)が出た=写真(右はチチタケのけんちん汁)。やはり、何人かが持ってきてくれた。今年はマメダンゴが豊作だったらしいという。いっぱいもらったので、冷凍していたのを、私のために炊き込みご飯にした。
ご飯に入っていたマメダンゴを見ると、小指の先ほどの小ささだ。夏井川渓谷の無量庵で採れた、そしてほとんどは中が黒くなっていた、「食不適」のマメダンゴはその3倍も、4倍も大きい。これはもう熟して胞子を飛ばす寸前だったのだ。櫛のように小さな熊手で土をやさしくくしけずらないことには、食用マメダンゴは採れないのかもしれない。
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