2010年11月5日金曜日

ゴムタケモドキ?


ざっと3週間前のことだ。夏井川渓谷の森を巡っていたら、定期的にチェックする倒木に「アラゲキクラゲの幼菌」が発生していた=写真。アラゲキクラゲの幼菌には白っぽいものもある。平地の里山で観察していたので、そう判断した。

ところが、半月後にチェックしたら、アラゲキクラゲの姿はない。そのまま成長していれば、少しはアラゲキクラゲらしくチョコレート色になっているはずだ。アラゲキクラゲではないのか。

似たようなキノコは――。タマキクラゲ? ゴムタケモドキ(ニカワチャワンタケ)? モモイロダクリオキン? いずれも食菌だ。見た目がグロテスクなタマキクラゲは、若いときに食べたことがある。それとはだいぶ印象が違う。あとの二つは未見なので分からない。調べれば調べるほどこんがらかってきた。

アカキクラゲ科のモモイロダクリオキンは、最近、読んだキノコの本で知った。21世紀になって名前がつけられた新種だという。ズキンタケ科のゴムタケモドキは図鑑で知った。キクラゲのようでキクラゲではない。

話は3週間前に戻して、たかだか5ミリ内外の円錐形をした、小さな幼菌だ。採取した帰り、ヒトと会ったら「何が採れたかと」と聞く。森を巡る同類だ。すると、すぐもう1人が斜面を下りて来た。土の中に埋まっていたマツタケを掘り出したといって、見せてくれた。トリュフをかぎあてる欧州の犬・豚よろしく、マツタケを見通す眼力を鍛えたヒトらしい。

すました顔でマツタケを見ながら、内心は激しく動揺していた。わがキノコ目はまだまだ甘い。その晩、「アラゲキクラゲの幼菌」をゆがいて酢の物にした。くせのないゼリーのかけら、といった印象だった。森の珍味には違いない。

ただし、今思えばゼリー状すぎる。やはりゴムタケモドキだったか。

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