2015年6月10日水曜日

被災地訪問ツアー・上

 震災後、いわき市平に交流スペース「ぶらっと」を開設・運営しているシャプラニール=市民による海外協力の会が6月6~7日、6回目の「被災地訪問ツアー みんなでいわき!」を実施した。首都圏、静岡県(牧之原市)・宮城県(仙台市)などから十数人が参加した。ツアー常連のYさんのほか、東京や福島市で顔を合わせたシャプラの地域連絡会のメンバーとも再会した。
 カミサンの学生時代からの親友がご主人と一緒にツアーに参加した。ご主人は多摩動物公園の元チンパンジー飼育係吉原耕一郎さんだ。

 奥さんとは2011年12月、シャプラが中心になって東京で開いた「リッスン!いわき」の集まりで再会している。原発事故を起こした双葉郡に最も近い被災地(いわき)の人間として、津波被害に遭った豊間の友人(大工)とともに、夫婦で出かけておしゃべりをした。
 
 ご夫妻とは仙台で会ったことがある。それが30年前。吉原さんに頼んでいわきで講演をしてもらったこともある。そうだ、春休みだったかに下の子をホームステイさせたこともある。それ以来だとすると、二十数年ぶりの再会か。
 
 ざっと30年前の、吉原さんについての私の文章(新聞コラム集に収録)がある。1988年6月6日付のいわき民報に掲載した。タイトルは「馴致(じゅんち)と調教の違い」。吉原さんがNHK「日曜インタビュー」に出演したときの感想を記した。

「動物を飼育する以上、人間と仲良くするための最低のルールは教えねばならない。それを動物園では馴致という。たとえば、握力100キログラムのゴリラに握られたら、人間の手は粉々に砕けてしまう。人間の手を握ってはいけない、体当たりしてはいけない、ということを、小さい時からしつけていく必要があるのだ。」

「これに対して、芸として三輪車に乗せたり、竹馬に乗せたりするのを調教という。(略)調教ではうまく出来たらごほうび(バナナなど)をあげるが、馴致ではごほうびはやらない。その代わり、よく出来たらほめてやる。相手が子供であれば、『うまく出来たね』といいながら、頭をなでてやる。ほめることが最高のごちそうなのだ。」

 ツアー客を迎える側に「ぶらっと」元スタッフが幼い長男を連れて加わった。チビちゃんが少し眠たくなったころ、吉原さんが抱っこした=写真。ちいさいうちは人間もチンパンジーもそう変わらないという。その意味では、吉原さんは子育ての専門家だった。チビちゃんは、吉原さんの腕のなかで安心しきっておとなしくしていた。

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