おととい(5月31日)の日曜日は、日中、夏井川渓谷の隠居で過ごした。未明に雨が降ったのか、途中の道路が少し湿っているような感じだった。
気圧の谷が通過したらしい。川上から猛烈な風が吹きつけている。隠居の庭にあるカエデの葉が裏返り、激しく波打っている=写真。冬であれば「木枯らし」。西の高気圧から東の低気圧に向かって、天空の川が激流となって押し寄せてくる、そんな感じだった。南風ではないが、これも「青嵐」だろう。
青葉の季節には、隠居のすべての窓を開ける。ところが、おとといは部屋の紙が飛ぶ、棚の置き時計が倒れる、梁(はり)に架けた辛み大根のさやの束が落ちる――といった具合で、南側のガラス戸を除いて東西の窓はすべて、玄関の戸も含めて閉めた。
強風のなかで桐の木にのぼり、径10センチ余はある「ひこばえ」の幹を1本切った。風呂場からホースを伸ばしてトウガラシの苗を定植するために水やりをした。
生ごみを埋めて、風呂場のそばで容器を洗っていると、キイロスズメバチが1匹現れた。おかしい、どこかにまた巣をつくったな――見ていると、風呂場の板壁の中にもぐりこんだ。前にも同じところに営巣した。すき間をふさいだはずだったが、別のところが腐食し、穴があいたのか。
すぐカミサンに伝える。何年か前、カミサンがそこで草を引いていて、スズメバチに刺された。腫れも痛みも収まらないので、総合磐城共立病院の救命救急センターへ連れて行った。「今度刺されたら、すぐ救急車を呼ぶように」といわれている。街のなかの庭と同じような感覚で谷間の庭の草むしりをすると痛い目に遭う。二度目はいのちにかかわる。
午後3時半には隠居を離れた。日曜日の楽しみはカツオの刺し身。平の街の“裏山”石森山経由でいつもの魚屋さんへ直行した。
石森山ではホトトギスとサンコウチョウの鳴き声を聞きたかったのだが、ウグイスの「谷渡り」が耳に入っただけだった。そういえば、溪谷では「―キン、―キン」と鳴くセミがいた。エゾハルゼミだと思うが、自信がない。
魚屋さんに着くと「コチンコチンのしかありません」という。冷凍ガツオのことだ。それは遠慮する。「で、なにがあるの」「イワシ、ヒラメ、タコ」「その盛り合わせで」。すぐ別の常連さんがやって来た。「カツオはないんですって」。カミサンが言うと「ええっ!」。私よりがっくりきたようだった。
帰宅すると、玄関のたたきに茶封筒が落ちていた。戸のすきまから差し込んだのだろう。表には「シャプラニールへ (ブログ購読料)」、裏には「同窓生」とあって、中に紙幣が入っていた。ネパール大地震への「地の塩」だ。だれかはおおよそ見当がつく。その夜の刺し身と田苑はいちだんとうまかった。
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