2015年6月26日金曜日

八重のドクダミ

 いわき市小川町の知人の家を訪ねたときのこと――。家の南側は落葉樹と山野草とで小さな林になっていた。西洋風のガーデンにすることもできたのだろうが、日本の里山をそっくり持ってきたような風情だ。「山野草が好きなので」。自宅のそばで介護施設を運営している知人がいう。
 キキョウが咲いている。ホタルブクロも庭のあちこちに咲いている。植えたのが繁殖したのだろう。山野草にはそういうたくましいものが結構ある。
 
 わが家の庭のホトトギス、ユキノシタ、ドクダミがそうだ。ミョウガも、野菜というよりは山菜、あるいはハーブの一種だろう。地下茎で増える。ほっといても毎年、春には芽を出し(食材のミョウガタケになる)、月遅れ盆の前後からミョウガの子(これも食材)が現れる。ドクダミも、陰干しをして煎じると「どくだみ茶」になる。
 
 ドクダミは、白い“十字花”だが、花弁のようなものは、ほんとうは総苞(そうほう)だ。小さな花が真ん中に密集している。ところが、知人の庭のドクダミは、十字どころか“八重咲き”だった=写真。「八重の桜」があるように「八重のドクダミ」があった。初めて見た。
 
 いつもの年なら、東北地方も梅雨に入っている(東北南部の梅雨入りは、ならすと6月12日ごろ。梅雨明けは7月25日ごろ)。いわき地方は北関東と同じ気象だから、実質的には梅雨入りをしたようなものだが、気象庁のお墨付きがない。どこの家の庭だったか、そしてどこの通りだったか、ネジバナもネムノキも咲きだしていた。ネムは、定点観測では7月初旬の花だ。
 
 それはそれとして、知人の庭に立ったとき、私の頭のなかが花でいっぱいになった。めでたく頭に花が咲いた。

0 件のコメント: