2016年7月15日金曜日

鳥の巣

 わが家の道路向かい、駐車場の奥に故義伯父の家がある。クスノキの若木がちんまりと枝葉を広げている。去年(2015年)まで、カラスが2年続けて巣をかけた。子育て時期が過ぎたところで、近所の造園業者に頼んで“散髪”した。ちょうど1年前だ。
 カラスの古巣を壊さないように切ってもらった。古巣は直径40センチほど。今は一種のオブジェとして、庭の隅っこに置いてある。

 堅牢にできている。幹と枝のまたに木の枝を組み合わせて円形の“産座”をつくった。下段はやや太く丈夫な枝、中段はそれより細い枝で、くちばしで枝をしならせながら編みこんだようだ。その枝と同じくらいの太さのハンガーが6~7個、組み込まれていた。
 
 義伯父の家は高床式の平屋建て。玄関前が階段になっている。上り口の軒下に3メートル弱のナンテンの木がある。何日か前、カミサンがこの木を剪定した。鳥が巣をかけていた=写真。長径13センチ、短径9センチ、深さは4センチほど。外側基部にはビニールテープやレジ袋のきれはし、枯れ草を使い、産座にはシュロが敷き詰められている。なかなか緻密な構造だ。
 
 前に、夏井川渓谷にある隠居の庭のクワの木に鳥が巣をかけた。同じ庭木のカエデに営巣中のヒヨドリを見たことがある。義伯父の家の庭の巣もそれに似ている。渓谷の隠居と同様、ふだん人は住んでいない。住んでいれば最も人の出入りが激しいところだ。巣の高さ、大きさからして、建築主はヒヨドリだったかもしれない。

 にしても、鳥は人間をよく観察している。カラスにしろヒヨドリ(として)にしろ、建ち並ぶ住家からたまにしか人が現れない家を見つけて営巣した。人間は「バードウオッチング」と称して野鳥観察に出かけるが、その前に鳥から「マンウオッチング」されているのだ。「聞耳頭巾(ききみみずきん)」をかぶると、鋭い人間批評が聞かれたりして。

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