おととい(7月4日)のNHK「クローズアップ現代+」は、ダッカ人質テロ事件を取り上げた。シャプラニール=市民による海外協力の会の元代表理事・現評議員の大橋正明聖心女子大教授が出演した=写真。今年3月31日、大橋さんが奥さんを伴って、5年と4日ぶりにわが家へやって来た。それ以来の「対面」だ。
大橋さんはバングラデシュやインドなどをフィールドに、日本のODAとNGO、インドの被差別カーストの人々などを研究テーマにしている南アジアの専門家だ。NGOを支援するNGO「国際協力NGOセンター」(JANIC)の前理事長でもある。
東日本大震災では、いわきへ緊急支援に入ったシャプラの副代表理事として2人のスタッフとともに社協、市役所、市勿来支所などを訪ねて、結果的に5年に及ぶ支援活動を決めた。道案内を兼ねて市内を、大津波の被害に遭った沿岸部を、震災後初めて巡った。
この5年、シャプラと大橋さんらを介して、国内外のNGO関係者や大学の先生らと話す機会が増えた。地震や津波被災者、原発避難者とホームコミュニティ(受け入れ地域社会)の関係についても思いをめぐらせた。
「クロ現」で大橋さんは厳しい見方を示した。バングラは親日国。とはいえ、犯人たちの年代が若いこともあって、「日本人カード」は利かなかった。もう日本は完全に有志連合なり十字軍と見なされるようになった――。
きのうの朝日新聞に、シャプラのダッカ事務所長のコメントが載っていた。「昨年1月、安倍晋三首相がイスラム国(IS)と向き合う周辺国の難民支援などに2億ドルの資金協力を表明した時が『大きな転機だった』と感じる。『あれから日本人もテロの標的にされている。テロをなくすためには力ずくではなく、貧困の解消などに知恵を絞るべきでは』」
大橋さんとは別に、きのう、シャプラ会員で徳島大歯学部の森田康彦さんとフェイスブックでつながった。事件がきっかけといってもいい。森田さんは、同大や北海道大学の学生らを率いて、バングラで歯磨き指導や口腔検診をする国際ボランティア活動を展開した。事件の起きた一角に宿泊して村へ通ったという。
森田さんに会ったのは震災直後で、シャプラのいわきでの活動を、放射線量の測定という専門分野から支援した。ボランティアで久之浜の放射線量も測定した。その結果をもとに、震災から3カ月余りあと、市久之浜・大久支所で住民に線量調査報告をした。「小・中学校再開準備プラン」も明示した。(わが家へ来たとき、線量計を初めて見た。屋内で毎時1マイクロあったのを覚えている。今は0.07に減衰した)
そのとき、連携して支援にかかわったいわき出身の都市計画コンサルタント氏がいる。彼の勤める会社の仲間が今度のテロで犠牲になったという。直接にはいわきと関係がなくても、人のつながりのそのまたつながりをたぐると、亡くなった人たちの志と人生が見えてくる。さぞや無念だったことだろう。
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