夕方6時。車で夏井川の堤防を下流へ向かうと、ツバメが群れ飛んでいた。それよりさらに下流のヨシ原に集団ねぐらができる、と聞いたことがある。その数、数万羽――。少しずつねぐらが形成されつつあるのだろうか。
7年前のことだ。立秋を迎えたばかりの8月上旬、日本野鳥の会いわき支部が河口近くでツバメの集団ねぐら観察会を実施した。好奇心にかられて出かけた。途中でケータイが鳴り、急いて帰ったので、ねぐら入りには出合えなかったが。
日本野鳥の会いわき支部が、支部創立50周年を記念して発行した『いわき鳥類目録2015』に、現支部長氏の「観察メモ」が載っている。
「日が落ちる前の夏の夕方、数万羽のツバメが空一面で乱舞し、その後、急降下しヨシ原の上を群れ飛ぶ姿に、息を呑むほど感動しました。その塒(ねぐら)は2008年、夏井川河川敷ヨシ原にありましたが、その翌年には仁井田川河川敷に塒を移し、今日に至っています」。私が出かけたのは仁井田川にねぐらを移した2009年だった。
ツバメが南からいわきへ渡ってくるのは、早くて3月下旬だ。それからほぼ3カ月。今は2回目の子育てに忙しい個体もいることだろう。
1カ月前、同級生の車に同乗して那須高原へ出かけた。途中、「道の駅東山道伊王野(いおうの)」(栃木県那須町)で一休みした。テント張りの物産センターにツバメが営巣していた。テントの内側、手を伸ばせば触れられる角の支柱を利用してヒナを育てていた。
帰路は東北道~あぶくま高原道路を利用した。白河市あたりでトイレ休憩をしたら、そこにもツバメが営巣してヒナにえさをやっていた=写真。那須野から福島県の中通り一帯は、ツバメにとっては子育てしやすい場所なのだろうか。
かつてはどの町も「ツバメのすむ町」だったような気がする。家々の軒下にツバメの巣ができた。今は国籍不明の「○×風」(たとえば「西欧風」とか)の家が建つ。2階建てでも1階にひさしのない建物が増えた。ツバメには住みにくい環境になった。
きょうから7月。1年の後半分が始まった。このごろは時間もツバメ返しで過ぎる。集団ねぐら入りがピークを迎えるのは1カ月先。すぐくる。一度は数万羽の乱舞という壮大なドラマを見たいものだが……。なかなか晩酌の誘惑を抑えられない。
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