今年(2016年)の精霊送りの祭壇は、少しはお年寄りの気持ちに沿うものになったのではないか――。
いわき市では環境美化の観点から、精霊送りの場所が決まっている。わが区では県営住宅集会所前の庭に臨時の祭壇を設ける。16日早朝、区民らがお盆の供え物を持って現れる。9時前後にはごみ収集車がやって来る。
前日、区の役員が出て庭の内外の草刈りをしたあと、四隅に青竹を立て、縄を回して杉の葉とホオズキをつるす。いわゆる「結界」で、なかに座卓を利用したお供え物の安置所をつくる。当日は早朝6時から役員が当番を決めて精霊送りに立ち会う。これまでの経験から、今年は焼香台の位置を変えよう、となった。
道路から祭壇までは石段を三つ上らないといけない。わずか3段でも足の不自由なお年寄りには大変なことだ。手すりにつかまり、やっとの思いで焼香台の前に立つ。ならば、道路からじかに焼香をできるようにしよう――役員の発案で祭壇を90度ずらし、道路に面して設けた。
問題は路上駐車だ。毎年、14日に「駐車自粛」の立て看板を出す。今年は15日午後になっても車が止まっていた。ずっとそのままだと、祭壇の向きを変えられない。夕方、なんとしたものかと思案しながら行くと、車が消えていた。立て看の効果か、あるいは16日朝に精霊送りがあることを思い出してくれたのかもしれない。
これで役員の思いがこもった祭壇ができる。祭壇予定地の周囲の草刈りをしたあと、そばの柿の木を利用するかたちで、道路に向かって祭壇をつくった。
きょう(8月16日)は、朝6時からの当番だった。去年までと焼香の位置が違っていて戸惑う人もいたが、じかに焼香ができる=写真。心配だった天気も、朝から油照りになった。柿の木がいい日陰になってくれた。
草刈りもそうだが、きれいになると気持ちがせいせいする。草刈りのごほうびがせいせいした気分だと気づくまで時間がかかった。それと同じで、石段を上らなくてよかったといわれれば、これもごほうびになる。
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