2016年8月31日水曜日

防災士教本

 台風一過――。いわき地方では、心配されたほどには被害がなくてすんだ。わが家では、玄関わきの鉢植えが倒れることもなかった。テープで囲ってそばの柱にしばりつけた=写真。それが効いたかどうかはわからない。鉢植えが倒れるほどの暴風ではなかったようだ。
 道路向かい、故義伯父の家の庭に植わっている萩は、しかし根元から折れた。木は、低木でも横倒しになると場所をふさぐ。片づけはカミサンにまかせて、私は米屋の店番を兼ねて市民文学の「文字読み」を続けた。
 
 まだ暴風雨のさなかにあったときだ。テレビを見ながら、カミサンが「なんで高潮になるの」と聞く。「高気圧で押さえつけられていた海面が、低気圧(台風)になって膨張するから」と答えたものの、ほんとうはどうなのか。そばに置いてある『防災士教本』を開いて「風水害と対策」の章を読んだ。

 風速が毎秒17.2メートルを超えると「熱帯低気圧」から「台風」に名称が変わる。台風の中心が九州、四国、本州、北海道の海岸線を横切ったときをもって、台風の「上陸」とする。台風の中心付近は気圧が低く、1ヘクトパスカル下がると海面が1センチ上昇する――「上昇」を「膨張」と言い換えても間違いではないだろう。
 
 台風9号のときと同じように、一時、いわき市全域に避難準備情報が出された。テレビのデータ放送でいわきの24時間雨量をチェックする。思ったより少ない。風もそうだ。というわけで、様子見をしているうちに台風が過ぎていった。倒れた萩はもともと道路側に傾いていた。折れるべくして折れたのかもしれない。
 
 少しずつ青空がのぞくようになった午後3時半すぎ、友人の娘さんが2歳の愛娘を連れてやって来た。2歳児は「さんぽ」と称して家の中をせわしく歩き回る。 “お相手”をしながらふと思った。きょう、ちゃんと歩いたのはこれが初めてだぞ。「豆台風」は疲れを知らなかった。

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