ロシアの島(サハリン)と大陸(シベリア)で、日本語ガイド氏からたびたび「ダーチャ」という言葉を聞いた。家庭菜園付きの「セカンドハウス」(別荘)らしい。庶民が当たり前に「ダーチャ」を持っている。
ことばに関しては、ガイド氏に日本語で聞けばいい。「スパシーバ」(ありがとう〉や「ハラショー」(いいね)くらいは使ってみたい――なんて思わないでもなかったが、機会はなかった。そのなかで唯一、仲間4人の記憶に刻まれたことばがダーチャだ。年に一度、夏井川渓谷の隠居に仲間が集まって飲み会をやる。その隠居がダーチャではないか。
ウィキペディアによると、ダーチャは、第二次大戦後の食糧不足対策として市民に土地を与えるよう、州政府や国に要求する運動が起きたのが始まり。ピョートル大帝が家臣の貴族たちに菜園付き別荘を下賜したことに由来するそうだ。
広大な平原を貫く道路の左右にときどき集落が現れる。なかには都市部の市民が週末を過ごすダーチャ群だったりする。特に夏場は盛んに利用される。ソ連崩壊後はダーチャの売買も行われ、豪華な家も建つようになったのだとか。
ロシアの旅から帰った翌日、つまりきのう(8月8日)。たまった新聞をめくり、手紙やはがきに目を通し、パソコンを開いてメールやメッセージをチェックした。
8月2日朝以来、“空白”になっていた時間を埋めると、気にかかるのは渓谷のダーチャにあるキュウリだけになった。ヘチマになっていないか。夕方、少し時間ができたのでカミサンと出かけた。8日前は花だけだったのが、35センチ弱の実に育っている=写真。
日本では、家庭菜園は趣味の世界に入る。が、ロシアでは生存のために必要なものだった。今はずいぶん日本的なダーチャモあるのだろう。ヘチマのようなキュウリを摘みながら、そんなことを思った。
0 件のコメント:
コメントを投稿