カミサンに、同じいわきに住む幼なじみから、ときどき絵はがきが届く。明治40年創刊の「いはき」をはじめ、大正~昭和初期に創刊された地域紙をチェックすると、名前の出てくる弁護士がいる。そのお孫さんだ(おじさん、おばさんたちもすごい。波乱に富んだ生涯を送っている)。
去年(2016年)10月には、アメリカのエドワード・ゴーリー(1925~2000年)の絵はがきがきた。苦しい人間はますます苦しみ、悲しい人間はますます悲しむ――そういう救われない世界を描く絵本作家だ。初めて知った。
先日届いた絵はがきは少女の肖像画だった=写真。この絵はネットで見て承知していた。スペインを代表するリアリズムの画家で、世界的に知られるアントニオ・ロペス・ガルシア(1936年~)、その愛娘9歳のときの肖像だ。タイトルは「マリアの肖像」(1972年)。紙に鉛筆だけで描かれているという。
いわき出身の画家阿部幸洋がスペイン中部、ラ・マンチャ地方のトメジョソ(トメリョソ)に住んでいる。2014年10月、地元のアントニオ・ロペス・トーレス美術館で阿部の個展が開かれた。美術館に名前が冠されているトーレスは画家。ガルシアはそのおい。トメジョソで幼少期を過ごした。
いわき市立美術館長がプライベートで個展を見に行った。帰国後、平・田町で話を聞いた。飲み屋のとまり木には言の葉が茂っている。酔眼にも見えているのだが、一夜明けると言の葉はきれいに消えている。メモ、メモ、メモ。箸袋でもなんでもいい、メモしておけば思い出す。画家ガルシアはそうして記憶に残った。
ネットにアップされているガルシアの作品をながめているうちに、ガルシアから俊英画家と認められたスペイン留学経験のある故磯江毅や、同じリアリズムの画家諏訪敦にたどり着いた。NHKEテレ「日曜美術館」でも2人の作品を見ている。
「マリアの肖像」はガルシアの代表作のひとつらしい。キリッとした女の子の表情が見る者を厳粛な気持ちにさせる。次は、どんな絵はがきが届くか。
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