2017年1月10日火曜日

山里から山里へ

 平市街から望む阿武隈の山並みに雪はない。山のふところ深く入っても大丈夫だろう――そう踏んで、夏井川渓谷の隠居へ出かけたついでに、川前から差塩(さいそ)経由で下市萱の直売所・三和町ふれあい市場を訪ねた。
 雪は、川前の枯れ田の土手にほんの少し残っているだけだった=写真。差塩は海抜500メートルほどの山里。そこへ上る道も、そこから下る道も乾いていた。師走の下旬、車検に併せてタイヤをノーマルからスタッドレスに替えた。アイスバーンになっていたら、スタッドレスタイヤでも歯が立たないが、何の問題もなかった。

 川前の公民館に車がいっぱい止まっていた。きのう9日は成人の日。いわきでは一日早く旧市町村単位で、川前地区は同公民館で成人式が開かれた。夏にミツガシワの花が咲く差塩湿原はかなり乾燥が進んだらしい。湿地(池)が大相撲の土俵くらいに小さくなっていた。

 昼下がりだったので、国道49号沿いでラーメンでも――と思ったが、甘かった。3連休の中日で、どこも混んでいた。結局、わが家近く、住宅街のラーメン屋で遅い昼食をとった。

 三和町ふれあい市場では白菜を2玉買った。地元の梅干し・古漬け・ラッキョウ漬けなども手に入れた。加工品は三和の“おふくろの味”だ。

 白菜は漬物にする。夏は糠漬け、冬は白菜漬け。同じ白菜でも、平地よりは山地のを、南よりは北のを選ぶようにしている。寒さがきついほど白菜は凍るまいと糖分を蓄えて甘くなる。

 ふれあい市場のおばさんがお茶を出してくれた。「雪はないですね」「2回くらい降ったんだけどね。この冬は雪がないの」

ところが、それから天気が崩れた。4時間後、ふれあい市場から峠を二つほど超えた先、平田村の国道49号で交通事故が起き、高齢夫婦が亡くなった。濡れた路面が原因かと思ったが、テレビニュースを見る限りそうではなかった。いずれにしても、今の時期、天気が崩れると山里はあっという間に白銀の世界に変わる。

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