おととい(1月13日)降った雪は、太陽に暖められてあっという間に消えた。
翌朝、2階の物干し場を見ると、うっすら積もった雪がザラメ状になっていた。湿った雪が夜のうちに凍ったのだ。縁側のひさしの雪もザラメ状だった。少しずつ融けながら滑り落ちてひさしからはみ出す。午前10時ごろになると、融けたザラメ雪の雫(しずく)がポタポタ垂れるようになった。
めったにないシャッターチャンスだ。デジカメの撮影モードダイヤルを「スポーツ」にして“連写”した。その1枚がこれ=写真。
雫の大きさは、雪の量が少なかったこともあって径3ミリ前後だろうか。撮影データをパソコンに取り込んで拡大すると、微細な雫の表面に青空も太陽も庭木も映り込んでいる。極小に極大が宿っている。
肉眼ではわからない、かといって顕微鏡レベルまでいかなくとも拡大すれば見える“宇宙”。カメラをちょっといじる程度の人間にも可能なお遊びだ。こんなときは、「沈黙の春」を著したアメリカの生物学者、レイチェル・カーソンのいう「センス・オブ・ワンダー」(不思議さに目を見張る感性)に包まれる。
自然の不思議さは山野へ出かけないと体験できない、というものではない。人間には迷惑・危険なことも含めて、自分の家にも庭にもある。玄関先にツバメが営巣する。アシナガバチが軒下に巣をつくる(これは、わが家)。庭にモグラ塚がいっぱいできる(これも、わが家の庭)。生物とはちがう気象現象、屋根の雪融けの雫もカメラを介して不思議さを教える。
夏井川渓谷の隠居でカエデの枝先にできた露を接写したことがある。パソコンに取り込んで拡大したら、やはり青空と雲、太陽、裸木が映っていた。雨上がり、クモの巣が水滴で網目模様になっている。雨の日、コケの先端から雫が垂れている……。目に飛び込んできたその瞬間、その場所がワンダーランドに変わる。
けさはこの冬一番の冷え込みになった。風呂の水が出ないのでわかった。台所の水は凍りかけていたが、蛇口をひねったらガガガガいいながら通水した。気象台のデータでも、小名浜で今季最低の氷点下3.2度とあった。風もある。こういう自然の不思議さは、人間には厳しい。
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