2017年1月25日水曜日

人は来て、とどまって、去る

 舞台、土俵、ステージ……。呼び方はなんでもいい。人間もそれ以外の生き物も「この世」という舞台に立って、やがて退場する。人は来て、とどまって、去る。それを繰り返しているのだ。
 この世に現れた命が成長し、やがて次の命を生む。その命がまた次の命を生む。命のリレーによって私が、子が、孫がいる。リレーを終えたと感じたら、静かに舞台から退場するときを待つ――そんなことをつい考えてしまった。
 
 知人の訃報が相次いだ。市役所で観光分野に力を発揮したH氏が彼岸へ去った。65歳。結婚前に世話になった建築事務所の所長(50代で亡くなった)がいる。その奥さんが亡くなった。83歳。
 
 カミサンも世話になった佐々木芳弘さんは87歳。死亡記事=写真=を読んで、合掌した。老舗の家具店を経営しながら、アマチュアのバイオリニストとして活動した。私が勤めていた新聞社の監査役でもあった。
 
 一方で、こんな朗報もあった。男の孫が生まれたと、40年来の女性の友人が来てカミサンに告げた。上の孫の女の子は、「春」ではなく「小春」。弟は「朝陽」ではなく「夕陽」。こういう名づけの感覚がいいなと、若い母親から「おじちゃん」といわれる人間は、口元がほころぶのだった。

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