夏井川渓谷を縫う県道小野四倉線の最狭部は、支流・ヤマベ沢にかかる橋。長さは5メートル前後か。名勝・籠場の滝のすぐ下流にある。
山側がコンクリート吹きつけの崖、谷側が展望スペースの出っ張りを含めてガードパイプで遮られている。出っ張りのガードパイプがヤマベ沢の橋の欄干で、下に滝があるとはだれも気づかない。すぐ上に磐越東線のトンネルがある。沢の水はその下をくぐりぬけてくる。
もう20年ほど前になるだろうか。橋を架け替えるためにしばらく通行止めになったことがある。隠居へは下流側で車を止め、1キロほどを歩いて行き来した。道路に留め置くために、書類に車のナンバーを書いて出した記憶がある。
先週の金曜日(12月7日)朝、隠居へ出かけたら、出っ張りのすぐ上流側の支柱が傾き、ガードパイプがゆがんでいた=写真。谷側には応急のガードパイプが組まれていた。行楽客とドライバーに注意を喚起するため、チョコレート色のパイプに黄色いテープが巻かれている。一見、“トラテープ”だ。よく目立つ。
四半世紀近く、ほぼ毎週、夏井川渓谷へ通っている。そのため、道端の杉林が伐採された、どこそこのガードレール(パイプ)がへこんだ、花が咲いた・散った――などは“週単位”でわかる。ヤマベ沢のガードパイプ破損も、12月2日(日曜日)にはなかったから、その日の夜以降6日までのことだろう。
そこは、ダンプやバスがかろうじて通れるくらいに狭い。軽自動車であっても交差はできない。とすると、考えられるのは、スピードを出し過ぎた車の自損事故……。
渓谷の道路にはセンターラインがない。昼間は、シルバーマークの車が目立つ。例外なく道路の真ん中を走ってくる。カーブで何度もひやりとした。
ところが、夜は車のライトで対向車両がわかる。慣れたドライバーはアクセルブレーキだけでカーブを曲がる。なかには、なにかで神経がゆるんでしまったドライバーがいるかもしれない。砂時計のくびれのように急に狭くなったヤマベ沢の橋でハンドルを制御できずにガードパイプに激突した?――元ブンヤはそんな状況を想像する。
ガードパイプを越えて谷に転落したらオオゴトだった。新聞やテレビではニュースになっていないから、意外と軽傷で済んだか。
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