いわきの街で売られているネギは白くて太いのが主流。見た目は立派だが、けっこう硬い。味もあまりない。
40歳を過ぎて、夏井川渓谷の隠居へ通いはじめ、親しくなった家で朝食をごちそうになったとき、自家栽培のネギとジャガイモの味噌汁に飛びあがった。これだ、この味噌汁だ、小さいときに食べたのは! 聞けば、「三春ネギ」だという。いわきの街で買って食べていたネギと、渓谷のネギは品種が違っていた。
以来、知人から種と苗をもらい、失敗を繰り返しながらも種の冷蔵保存を覚えて、自家採種で三春ネギの栽培を続けている。
冬ネギが出回る季節を迎えた。わが菜園の三春ネギはすでに11月から収穫を続け、残りは採種用のものを除いて20本程度になった。
自家栽培のネギだけでは間に合わない。「三和ふれあい市場」へ行ったときには三和町の地ネギを買い、道の駅よつくら港でも同じように地元産のネギを買う。それらもまた、ネギジャガの味噌汁にして味や硬軟を確かめる。
水曜日(12月12日)の朝、前夜の残りのけんちん汁(トン汁)に輪切りのネギがちらしてあった。加熱されていなかったからか、リンゴの皮のように硬い。白くて太かったという。めったにないことだが、ネギを取り除いて食べた。
翌日、内郷へ行った帰り、郡山市に本社のあるスーパーへ寄って買い物をした。師走に入ると、郡山の「阿久津曲がりネギ」が野菜コーナーに並ぶ。あった。3束を買った=写真。
きのう(12月14日)朝、カミサンに頼んでネギジャガの味噌汁にした。台所に行くと、ネギの香りがする。味噌汁をすする。ネギが甘くてやわらかい。1年ぶりの味に舌が喜んだ。
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