2025年5月27日火曜日

山形のワラビ

                                 
 カミサンの知り合いからワラビとマイタケをちょうだいした。山形産だという。同じ日、近所に住む奥さんから家庭菜園のサヤエンドウが届いた=写真。

 これは前にも書いたことだが、春になるとネットで出荷が制限されている山菜を確かめる。

いわきでは今年(2025年)も、ゼンマイやワラビ(野生)、コシアブラ、タケノコ、タラの芽(野生)、原木ナメコ(露地)の出荷が制限されたままだ。

野生のキノコは出荷だけでなく、摂取も制限されている。除染が済んだ夏井川渓谷の隠居の庭に生えるキノコ以外は、まず口にしたことがない。

 そのなかで届いたワラビである。東日本大震災に伴う原発事故後初めて、放射能を気にせず食べる山菜といってよい。

 カミサンもワラビとはしばらくぶりだったのか、「どうやってアク抜きするんだっけ?」と台所から叫ぶ。

 私も急いでネットで手順を確かめる。灰を使うのは子どものころから知っている。重曹でもできる。あとでカミサンに聞くと、炭酸を使ったという。

 炭酸? たぶん重曹のことだろう。重曹は炭酸水素ナトリウムで、「タンサン(重曹))として売られている(スーパーにあった)。

 ワラビの袋に張られたラベルから、産地は山形県大江町、売っていたのは地元の道の駅であることがわかった。

大江町は初めて聞く名前だ。ネットで調べると、あの「おしん」(朝ドラ)の有名な「筏(いかだ)下り」のロケ地ではないか。

大江町は山形県の中央部、天童市の西方で、朝日山地の東端に位置する。昭和34(1959)年8月、左沢(あてらさわ)村と湯川村が合併して誕生した町だという。

同町の左沢地区は、かつて最上川舟運の中継地として栄えたところだそうだ。筏下りはその名残でもあろうか。

酒田での奉公のために、子どものおしんが筏に乗って最上川を下る。河原では母親が泣きながら筏を見送る。あの有名なシーンが思い浮かんだ。

その最上川は福島県との境の西吾妻山に発し、山形県の中央部を縦断しながら新庄市付近で西に向きを変え、酒田市で日本海に注ぐ。

大江町付近でも蛇行し、筏下りのロケ地を過ぎると曲流して東へ向かい,やがてまた北流する。それもあってか、付近では近年、水害が続発したそうだ。

さて、いわきと山形となれば、平山崎の専称寺である。その末寺が大江町にあるのではないか。

故佐藤孝徳さんが平成7(1995)年に発刊した『浄土宗名越派檀林専称寺史』に当たると、「左沢村」に「観音山法界寺」があった。

大江町には山号が「左沢山」の法界寺がある。専称寺末だった法界寺だろうか。たぶんそうだろう。ロケ地からは少し北西の方向にある。

ワラビはちょっと煮過ぎたのか、アクは抜けたがだいぶ軟らかくなっていた。でも、おしんやお寺の話が加わった分、滋味は増したようだった。

1 件のコメント:

クエルボの人 さんのコメント...

大江町出身の大学の後輩がいて、地元の図書館に就職したと聞き、左沢線に乗って会いに行ったことがあります。
水害以降連絡をとっていませんが、元気でいることを願っています。