2025年5月28日水曜日

繰越金

                                
   新年度がスタートして早くも2カ月。区内会だけでなく、地域の各種団体も新しい事業計画と予算に基づいて活動を始めた。

始めたといっても、実際はエンドレスだ。活動には始まりも終わりもない。いちおう区切りとして年度ごとに総会を開き、事業経過と決算を承認して、新年度の事業計画と予算を決める。

予算・決算の項目に「繰越金」がある。当年度の決算で手元に残った余剰金を確定し、繰越金として次年度の予算に計上する。

繰越金は多ければ多いほどいい、というものではない。区内会でいえば、各世帯が負担する区費が収入の基盤になる。これに基づいて各種事業を展開する。事業を抑えれば支出は減る。すると、繰越金は膨らむ。

その団体にふさわしい繰越金の額があるかどうかはわからない。しかし、収入を超えるような繰越金は、やはり見直しが必要になるのではないだろうか。

実はわが行政区でも、このことが問題になった。コロナ禍による総会を、対面ではなく書面審議に切り替えた時点で、「繰越金が多すぎるのではないか」との指摘があり、当年度中に善後策を検討することを約束した。

区内会の役員が集まって協議した結果、コロナ禍前の決算状況に近づけるため、区費の3年間減額を決めた。

2025年度はその2年目。前年度と同様、減額理由を記した回覧文=写真=を配り、隣組ごとに区費を集めてもらった。

繰越金が膨らんだ理由ははっきりしている。コロナ禍による行事の中止が相次いだことが主因だ。

球技大会や体育祭をはじめ、各種行事が中止、あるいは規模が縮小され、事業費や負担金、助成金、交際費(祭礼等の祝い金)などの支出が減った。

 区内会に限らない。地域には実に多くの団体がある。防犯協会、体育協会、青少年育成市民会議……。

 これらの団体のなかには繰越金の扱いを協議して、会費や負担金の徴収を見合わせる、というケースがみられた。

 地域に根差した非営利団体にはちがいない。多くは前例踏襲で事業や予算を組む。それで問題が起きるようなことはまずない。

役員をやっているとつい、惰性でコトを進めようとする。繰越金の膨張にも鈍感になってしまう。

「多すぎる」とはなんとなく感じつつも、めんどうなのでそのままにしておく。と、やがて組織は酸欠状態になる。

それに「待った」をかけ、風通しを良くするのは、やはり若い人、あるいは新しく役員になった人だろう。

社会の常識という尺度から繰越金の額を見直す――ポストコロナ禍の今こそ、その時期にあるようだ。

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