2025年9月5日金曜日

外来の秋の虫

                                 
   9月4日は朝から曇天だった。ぎらつく太陽が雲に遮られて見えない。むしろ、そのことにホッとした。

「快適指数」があればどのくらい?なんて軽口をたたきたくなるほどで、ほんとうに久しぶりに涼しさ、いやしのぎやすさが戻ってきた。

カラ梅雨以来、少雨・高温の日が続いている。いわき市の山田町では、8月はほぼ毎日、真夏日だった。

最高気温が30度を下回ったのはわずか4日間で、月遅れ盆を過ぎたあとはむしろ「残酷暑」になった。18日以降、猛暑日はなんと7日もあった。

起きて庭に出ると空には雲がない、間もなく朝日が昇って激しく照り付ける、やれやれ――そんな毎日だった。

でも、少しずつ秋の気配を感じられるようにはなっていた。夜も蚊取り線香を焚いて寝室の窓を開けて寝る。扇風機は「弱」にしてかけっぱなしにする。

その扇風機をさらに弱めたり、止めたり、あるいは窓を閉めたり……。9月に入ると、さすがに室温が涼しく感じられる晩もあった。

ちょうどそんな真夜中だった。起きて茶の間へ行くと、座卓にアオマツムシがいた=写真。今や、秋の訪れを告げる外来の虫だ。

この時期になると必ず一度はブログで取り上げている。やはり8月に暑い日が続いた2年前(2023年)、同じ時期(9月4日)にアオマツムシについて書いている。それを要約して再掲する。

――庭の柿の木で鳴くのは主にミンミンゼミだったが、8月25日あたりを境に鳴き声がやんだ。時折、ツクツクホウシの鳴き声が響いたが、これも弱々しかった。

 夜になると「リーリーリー」という虫の声が庭の方から聞こえてくる。朝には死んで畳に横たわっているものもある。アオマツムシだ。

 早いときには月遅れ盆が終わったあたりから鳴き出す。ところが2023年は記録的な猛暑で、8月8日の「立秋」後も気温は高めに推移した。

夜も25度以上の「熱帯夜」が続いた。この影響か、アオマツムシの初鳴きは例年よりずれこんだ。

初めてアオマツムシについて書いたのは2010年9月3日だった。この年は8月30日あたりから、夜の庭でうるさく鳴き交わすようになった。

草むらからわいてくるのではなく、木の上から降ってくる。鳴き声が大きい。エンマコオロギのような繊細さはない。うるさいくらいだ――。

今ごろ、マチで飲み会があると、頭上の街路樹から「リーリーリー」が降ってくる。アオマツムシは、平地の街路樹という街路樹にすみついているのだ。

わが家へ現れた今季最初のアオマツムシは、背中に褐色の模様があった。雄だ。そして、朝にはもう息絶えていた。

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