カミサンが移動図書館から借りた本の中に、石川久『70歳からの脳が老けない新聞の読み方』(アスコム、2025年)があった=写真。
著者は脳神経外科医で、1万人以上の脳を診てきた経験から、新聞には脳活効果があるという。そのノウハウを紹介している。
新聞記者をしていた経験からいうのだが、認知症予防の視点から新聞を考えたことはなかった。
しかし、原稿用紙に記事を書く「新聞記者」が、キーボードを打つ「新聞打者」になってから、書くことをやめたら脳は退化する、という思いが消えない。
で、ブログは晩酌をやりながら下書きをして、翌朝、キーボードをたたいて仕上げる。下書きの素材はやはり、備忘録を兼ねた手書きのメモ(日記)である。前に、「スマホ脳」に絡めて次のようなことを書いた。
――私は、パソコンを「外部の脳」、自分の脳を「内部の脳」と区別して考える。外部の脳に文章の処理を任せるようになってから、内部の脳はすっかり書くことから遠ざかった。
人間の脳は、使わなければ退化する、パソコンやスマホが普通になった今、人間の脳はこれから小さくなっていくのではないか、といった危惧を抱かざるを得ない。それを避けるために、意識して実践しているのがメモの手書きだ。
在宅ワークが基本なので、パソコンのわきにA4判のメモ用紙(新聞に折り込まれる「お悔やみ情報」の裏面)を常備している。朝から夜寝るまで、見たこと・聞いたこと・感じたこと・考えたことをメモし続ける。
日常を記録することで、日常に埋もれているニュースを掘り起こすこともできる。一種の自己鍛錬として、これを10年以上続けている。
書くことは肉体的な行為だ。書く習慣が薄れると考える力も衰える。アナログ人間だからこそわかるデジタル文化の落とし穴といってもよい――。
とにかく、書くことが脳活になる。経験的にそう認識していたのだが、さらに新聞を読んで考えるだけでも脳活になる、という指摘にはおおいに勇気づけられた。
たとえば、①記事に登場する人物の名前を探してどんな顔だったか思い浮かべる②興味のあるキーワードを探して読み込んでみる③声に出して読む④見出しを手がかりにイメージを膨らませる⑤一つの記事の中で一番画数の多い漢字を探す――。
さらに、掲載写真を細かいところまで観察して模写してみる、広告を隅々まで読んで引かれたコピーを探す、もある。
これらを実践することで脳活になる。具体的には、短期記憶力、集中力、基礎思考力、意欲、注意力がアップするという。
パズルの脳活効果もバカにできないとか。パズルが解けると、脳からドーパミン(快楽ホルモン)が出る。ドーパミンはやる気を引き出す。
なるほど、新聞に数独が載り、それをやり始めるとネットのナンプレにまで手が伸びるのは、快楽ホルモンのおかげだったか。
要は、好奇心。これを持続することで老化のスピードは抑えられるということなのだろう。
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