何年か前に読んだシルバー関係の本だ。確か著者は元気な高齢のおばあさんだった。その本で知ったエピソードのひとつ。
元気であっても体調を崩すときがある。当然、病院へ行く。医師の診察を受ける。ついでだからと、病院に来ている人間を観察する。
このエピソードが心に残っていた。何歳になっても旺盛な好奇心。いや、好奇心があるからこそ、いくつになっても若々しいのだろう。
ふだんは接する人が少ない。それもあって、病院内を行き交う人間を見ることで世間に触れる――そんな思いの表れだったか。
薬を処方してもらう日が来て、この話を思い出した。そうだ、待ち時間の長さにイライラしても始まらない。その時間をマンウォッチングに当てればいいい。
それに今回初めて、保険証代わりの「資格確認書」を使用する。「後期高齢者医療被保険者証」が切れる7月末を前に、資格確認書が送られてきた。チラシなどが同封されていた=写真。
チラシには、当初の予定と違って、「マイナ保険証」を持っている人にも「資格確認書」を送る、つまり全員がこれを持つことになる、と書いてあった。
マイナ保険証を持たない私ら夫婦は、8月以降も保険証に代わる資格確認書を持って病院へ行く。その点はこれまでと変わらない。
マイナ保険証を持っている人はかえって混乱するのではないか。ヒトゴトながらそんな心配が頭をよぎった。
ま、それはさておき、マンウォッチングである。近所のかかりつけ医院なら、つい知り合いと顔を合わせる。苦笑交じりで「やあ、やあ」となる。
しかし、大きな病院では診察科目が細分化されている。それぞれに待合室がある。待合室によって症状が類推される。そんなことはしたくない。
だから、マンウォッチングといっても目が合うようなことは避ける。何人か知り合いらしい人がいた。道で会えば「しばらく」「元気?」などとあいさつを交わす間柄だが、ここでは知らんぷりをする。相手もたぶん同じだろう。
ただただ目の隅で人の流れを追う。年齢、性別はもちろん、髪型や服装、履物、歩き方や付き添いの有無など、当然ながら一人ひとりが違う。その多様さ、多彩さにあらためて感心する。
人が集まる施設としては、この病院は地域で一番人口密度が高いのではないか。マンウォッチングの場所としてもここが一番だろう。あらぬことを考えたついでに、もうひとつ思いが巡る。
9月に入っても「残酷暑」が続く。1時間でも、1時間半でも暑さを忘れられるのは助かる。エアコンあってのマンウォッチングだ。
予約時間は「10時から」だったが、診察を終え、処方箋に従ってそばの薬局から薬を受け取ると、正午を回っていた。「昼涼み」はそれで終わり。
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