2025年9月26日金曜日

夫婦ユニット

                                  
   前にこんなことを書いた。仕事とは別に、アフターファイブは自分の好きな表現活動に使う。そういう市民が多いまちは楽しい。

文化とは本来、「暮らし方」のことだ。暮らしのなかに演劇があり、音楽がある。市民芸術のすそ野が広いまちに住んでいると心地良い――。

その延長での市民ミュージシャンの活動だ。フェイスブックで「孫」の母親が秋まつりのライブを告知していた。

いつもは女性3人組の「明星」として歌手活動をしているが、今回は夫婦ユニット「平星(へいじょう)」として出演するという。

「孫」の父親も男性2人組の「平凡ズ」としてライブ活動を続け、歌とギターの演奏を披露している。

ふだんはそれぞれ別個に活動しているわけだが、「夫婦共演」は私が知る限りでは初めてだ。野次馬的な興味がわいて、カミサンと聴きに行った。

いわき市平薄磯の海岸に駐車場とつながる形で多目的広場がある。ここで9月21日、「行ってみっぺよUSUISO3地区秋まつり2025」が開かれた。

 ライブではいわきの伝統芸能・じゃんがら念仏踊り、カラオケのど自慢が披露されたほか、市内で活動をしている市民ミュージシャンが歌と演奏を披露した。

「平星」の持ち時間は午後1時半からの30分。この日は日曜日で、夏井川渓谷の隠居で土いじりをする日でもある。泉ケ丘のギャラリーいわきで開かれている吉田重信展も見たい。

というわけで、隠居へは早朝に出かけ、ギャラリーには11時着、そのあとどこかで昼食、午後1時過ぎには薄磯へ。そんな段取りでヤマ(渓谷)~マチ(泉)~ハマ(海岸)を巡った。

薄磯に着いたら北から南へ、海岸に沿って強風が吹いている。楽譜が飛ばされる。テントがグラグラ揺れる。野外のステージは、天気には恵まれたがなかなかスリリングだ。

 夫婦ユニットは、妻が歌い、夫がエレキギターで伴奏するというスタイルで昭和の歌謡曲を披露した。

 なかでも圧巻だったのは、今は「伝説」となった女性歌手の代表曲を歌ったときだ。歌手をまねて顔にほくろ(黒くて丸いシート)を張り、さらに聴衆の間を巡って同じようにほくろを張っていくと、客席に笑いが起き、その笑いが波のように何度も高まり、広がった。

 聴き手も喜んで頬を出す。この一体感を生み出したのは、人を引き付ける話術と率直さだろう。

「孫」の母親は演奏グループの一員として「ダンサー」をやり、「俳優」としても舞台に立つ。それは見て承知していた。

「歌手」としては今回が初めてだった。いやあ、思っていた以上の声量と声質に感動した。本人いわく、夫婦ユニットは「夫婦(めおと)漫才ユニット」。確かにそういう面もあったな。

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