2015年8月30日日曜日

原発事故処理機関

 いわき市民には縁遠かった国の機関だ。ひとつは、環境省。いわきに「中間貯蔵施設浜通り事務所」ができた=写真。もうひとつは、JAEA(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構)。同じように「いわき事務所」ができた。いわき駅前大通りの南側、新川緑地をはさんだビル街の一角にそれぞれ入居している。
 巨大地震と大津波で東電.福島第一原子力発電所の原子炉が次々に事故を起こした。

 事故の原因はいまだに解明されていない。その解明と事故収束作業、廃炉作業が並行して行われている、というところだろうか。ニュースにこそならなくなったが(その作業が当たり前になったから)、原発のある郡の南隣の市に住む人間としては、毎日がいつ崩れるかわからない断崖の道を歩いているようなものだ。

 JAEAには事故を起こした原発の廃炉という使命がある。報道によると、双葉郡楢葉町に、廃炉に必要な研究開発の実証試験をし、事故をおこした原発内部の状態を“再現”したなかでロボット操作などを実験する「モックアップ(原寸模型)施設」ができる。いわき市内の事務所はその後方支援基地だろう。

 中間貯蔵施設は、これまた報道によれば、1Fの立地する大熊・双葉町にまたがって建設される。環境省の浜通り事務所では、除染作業で出た県内の汚染物質の輸送計画やルート設定、予定地の用地交渉などを担当するらしい。原発避難者がいわきに2万4000人ほどいる。それもあって、いわきに出先機関を設けたのだろう。
 
 これらの仕事は、大げさな物言いではなく、世界史・人類史に書き留められるようなレベルのものだ。
 
 きのう(8月29日)、わが家にやってきた行政マンとこんな話になった。いわきへやってきた事務所の人たちは、いわきの住みよさを肌で感じているに違いない。観光とは別に、仕事と生活を通していわきの魅力を中央に発信できる存在になってくれるだろう。
 
 使命は使命としてがんばってもらう一方で、いわきで暮らすことになったからには、いわきのカツオを、自然を、温泉を、文化を楽しんでもらいたいと思う。そうあってこそ、困難な仕事にも立ち向かっていく力が出るというものだ。

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