BSプレミアムできのう(8月15日)午後1時半から、岡本喜八監督の映画「日本のいちばん長い日」が放送された=写真。白黒、157分。茶の間で見るにはけっこう長い。原作は昭和40(1965)年、終戦20年の節目に公刊された大宅壮一編『日本のいちばん長い日』。映画は同42年に公開された。
手元には半藤一利著『日本のいちばん長い日 決定版』(文春文庫)。もともとは文藝春秋社の編集者だった半藤さんが執筆し、事情があって<大宅壮一編>として刊行された。その後、物書きとして一本立ちし、大宅夫人の許可を得て自分の名義に戻したという(『決定版』あとがき)。終戦50年の節目の年だった。
作品は、ポツダム宣言を受諾し、昭和天皇の「玉音放送」が行われるまでの一日、すなわち8月14日正午から翌15日正午までの24時間を克明に記録したノンフィクションだ。ラジオが重要な役割を果たしている。で、きのう、『決定版』を一日で読み終えようと決めて、朝から斜め読みを続けた。3分の2を過ぎたころ、テレビで映画が始まった。ほぼ原作通りの展開だった。
文庫本のカバーに役所広司や本木雅弘らの顔写真が並んでいる。最初の映画からほぼ半世紀、終戦70年の今年(2015年)、再び映画化されたのだという。監督は原田真人、こちらは136分。いわきでも上映中だ。
ネット情報を基に主な新旧キャストを見ると、阿南陸相(役所広司、旧・三船敏郎)、鈴木首相(山崎努、旧・笠智衆)、迫水内閣書記官長(堤真一、旧・加藤武)などで、旧作では顔の見えなかった昭和天皇を本木雅弘が演じている。
それはそれとして、きのうは朝からあわただしかった。8時。12日からゲストハウス(伯父の家)に泊まって浜通りを中心に動き回っていた、フランス人のデルフィーヌとイギリス人のジェシカがいわきを離れるために、あいさつに来た。「じゃんがら念仏踊り」はいわきを知るうえで貴重な体験になったことだろう。
正午。テレビで全国戦没者追悼式典を見る。天皇が式辞を読みかけたら、黙祷になった。こちらがあせってしまった。晩の6時。行政区の役員が参加して、区内の集会所前に精霊送りの祭場をつくる。竹はきのう伯父の家の庭から、杉の葉はおととい夏井川渓谷の隠居から調達した。その間に、本を読み続け、映画を見続けた。
それで、少しは平和についても考えた。が、私には大きな平和より小さな平穏がふさわしい。朝晩、糠味噌をかきまわして糠床の安定を保つ。月・木曜日にはごみ集積所にネットをかけてカラスの襲来を防ぐ。戦争になれば糠床やごみネットどころではない。日常の小さな平穏こそが大きな平和のいしずえになる。
天下・国家を論じる<オトコのジャーナリズム>より、地域の片隅で人の泣き笑いとともにある<オンナ・コドモのジャーナリズム>の方が性に合っている。そんな、柄にもないことを考えたので、「玉音放送」から70年の今年、8月15日は個人的にも「いちばん長い日」になった。
小さな平穏のために、きょうは朝6時前、精霊送りの当番として集会所へ行く。9時前には収集車がやって来て、お盆の供え物を回収する。それが終わって初めて、ほんとうの盆休みがくる、といったところだろうか。
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