2015年10月24日土曜日

NHKも「せどがろ」と

 きのう(10月23日)のNHK福島「はまなかあいづ」のなかで、キャスターの吾妻謙アナウンサーが夏井川渓谷と背戸峨廊(せどがろ=江田川渓谷)を探訪する番組が放送された。
 最初に夏井川渓谷の紅葉の様子を伝えた。わが隠居は画面の右外にあって映らなかったが、隣の「錦展望台」から対岸の紅葉を吾妻アナが紹介した。アカヤシオその他が色づいているという説明に、おっ、正確じゃないか――。カエデは一部が色づいた程度で、赤く燃えるのはあと半月ほどたってからだろう。NHK福島の紅葉情報(カエデ)も、当然、夏井川渓谷は青葉マークのままだ。

 吾妻アナはそのあと、夏井川の支流である江田川=背戸峨廊へ入る。東日本大震災後、「トッカケの滝」から先は立ち入りが禁止された。それが今年8月8日、解除された。と思ったら、9月の大雨で再び「トッカケの滝」までしか入渓できなくなった。

 渓谷入り口の駐車場そば、草野心平筆「背戸峨廊」の自然石柱のわきに吾妻アナが立つ=写真。さて、なんと言うか。「せとがろう」か、「せどがろ」か――試験官のような思いで注視したら、「せどがろ」だった。よし! 思わずガッツポーズをとる。「せとがろう」だったNHKが「せどがろ」に変わった。

 なぜ「せどがろ」であって「せとがろう」でないかは、9月20日付小欄「せどがろ」などを読んでもらえばわかる。山をはさんで東側を流れる川の名が「加路川」。その流域の住民が山の裏を流れている川なので、江田川を「背戸(うしろ)の加路川=セドガロ」と呼びならわしていた。それに、草野心平が漢字を当て、滝や淵に名をつけた。

 いわき市立草野心平記念文学館はもとより、市の観光部門が「せどがろ」と表記し、取材にもそう答えるようになったことが大きいようだ。

 活字メディアのなかには、ちゃんと「せどがろ」とルビを振るところも出てきた。あとは道路の案内表示。アルファベットが「Setogaro Gorge」になっている。「Sedogaro」に直してもらわないと。ついでにいえば、「せどがろ」は庶民の口承地名なのだから、「背戸峨廊」について「『背戸』は隠れたところ、『峨廊』は岩壁がそそりたったさま」とかいう言い方はやめた方がいい。

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