盛岡市の岩手県立美術館は2001年に開館した。いわき市立美術館(1984年開館)より後発だが、市町村を超える県レベルの施設だけに規模はいわき市美より大きい。
企画展示室で開催中の松田松雄展を見たあと、2階の常設展示室をのぞいた。10月10日に今年度の3期目の常設展が始まったばかりだ。常設展は3つの会場に分かれている。常設展示室、萬鐵五郎展示室、松本竣介・舟越保武展示室を回った。舟越の彫刻に心が洗われた。
あとは図録を買って、タクシーで盛岡市内へ――。ミュージアムショップに寄り、図録を手にしてカミサンの買い物を待っていると、おおっ、松田夫人と娘の文さんがショップに入って来た。ブログに書き、文さんにフェイスブックで展観する日を伝えていた。どこにいるか見当をつけてやって来たのだろう。
図録は買わないでという。娘の文さんから携えてきた図録をいただく。ショップへの売り上げ協力はその分減ったが、カミサンがいろいろ買い込んだ。そのあと外へ出て、入り口付近の看板の前で記念写真を撮った=写真。
いわきの草野美術ホールで出会い、結婚して子どもができると、同じ幼稚園に子どもを通わせた。松田がなくなるまで濃淡はあったが、途切れることなくつきあいが続いた。それもあって、奥さん同士は記念撮影をしてバイバイ、というわけにはいかない。
盛岡県美は広大な盛岡中央公園のなかにある。館内のレストランに入り、窓際のテーブルで私ら夫婦は昼食をとりながら、時折、犬を連れて散歩する人を眺めては積もる話を続けた。
そのうち文さんが「あっ」といい、つられて外を見ると、いわきの歯科医氏と美術家の奥さんが歩いている。4人が手を振ると奥さんが気づいた。レストランに入ってきて「やあやあ」となったが、タクシーを呼んでいるとのこと。あいさつをしてすぐ別れた。
イーハトーブはモリーオの美術館で、イワキランドからばらばらにやって来た3家族が顔を合わせる偶然――もちろん、それを用意したのは松田松雄だ。
食事をすませたあと、私ら夫婦は夫人の運転、文さんのナビで盛岡市内へ戻った。42年前、新婚旅行で訪れた光原社や土産品店などへ案内してくれた。盛岡駅にも送ってもらった。タクシーを止めたり、道を尋ねたりするわずらわしさもなく、母娘にまかせっきりの、モリーオ滞在6時間の楽しい旅だった。
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