2015年10月23日金曜日

『いわき鳥類目録2015』

 日本野鳥の会いわき支部の川俣浩文支部長から、支部創立50周年を記念して発行した『いわき鳥類目録2015』=写真=の恵贈にあずかった。A4判、225ページ、フルカラー。いわき市内で撮影された鳥類246種と外来種6種が収録されている。
 画像と解説文のほか、①和名と目科名②観察地と留鳥・夏鳥・冬鳥・漂鳥・・旅鳥・迷鳥などの区分③漢字名と大きさ④確認記録(過去10年程度)⑤いわきで見られる時期――が載る。珍しい鳥、バーダーあこがれの鳥などは、生息地保全の観点から撮影場所を明らかにしていない。
 
 野鳥から始まり、野草・菌類へと興味・関心が広がり、いわきの自然を“丸かじり”しなくては――と思い定めて40年近く、気が向いたときだけ歩き回ってきた人間には、この目録は願ってもない「いわき鳥類図鑑」だ。
 
 専門家ではないから、勝手な素人基準でランク付けをしてみる。特A=撮影がきわめて困難、A=生息・飛来していた驚き、B=前に見たり、見たいと思ったりしていた鳥に写真で出合えた喜び・懐かしさ――。写真も一緒に紹介できればわかりやすいのだろうが、そうする技術がない(興味があれば、ネットで鳥の写真を検索してみてください)。
 
『目録』の収録順から、アオバト(A=留鳥)、ヤマシギ(特A=留鳥)、ハチクマ(B=夏鳥)、アオバズク(B=夏鳥)、アカショウビン(特A・A・B=夏鳥)、ブッポウソウ(特A・A・B=夏鳥)、ヤイロチョウ(特A・A・B=夏鳥)、ホシガラス(B=漂鳥)、ホシムクドリ(B=冬鳥)、ノゴマ(B=夏鳥)などに驚喜した。

 ほかに、台風や季節風などの、通常ではありえない要因でいわきまでやって来た迷鳥に、オオグンカンドリ、コグンカンドリ、シロハラクイナなどがいる。その一種、オウチュウを初めて知った。ヒヨドリ大で、全身が青みがかった黒色をしている。中国東部・台湾・東南アジア・インドなどに分布する。日本では数少ない旅鳥とあるが、それは西日本のことだろう。

 NHKの自然番組(BSプレミアム、NHKスペシャルなどを含む)は、人間と費用と時間をかけるからこそ見ごたえのある内容になる。が、『いわき鳥類目録2015』は、撮影のための支部員の努力と献身=何年にもわたる張り込み・空振り、その逆の僥倖・遭遇が繰り返されて初めて成った。仕事を終えたあとのフィールドワークには、ただただ頭が下がる。

 私よりは少し若い川俣さんとの、野鳥を通した付き合いも20~30年になるだろうか。今は、フィールドで数年に一度くらい顔を合わせるだけだが、彼の粘り強さにはいつも舌を巻く。

 ついでながら、『いわき鳥類目録2015』をいただいたとき、野田市で放鳥されたコウノトリの話をした。9月下旬、いわきに飛来したメスの「未来(みき)ちゃん」を2日間探し回ったという。写真を撮ることはできなかったが、さすがに情報をキャッチするのは早い。「末来ちゃん」は、今(10月20日現在)、兵庫県加西市付近にいる。

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