2015年10月3日土曜日

ミヤマアカネ

 夏井川渓谷は虫の王国。そこへ人間がやって来て住み始めた。故義父が建てた渓谷の隠居へたまにしか行かない私などは、虫の王国の一画を“お借り”して“遊ばせてもらって”いる身でしかない。
 とはいうものの、虫には愛憎がある。全面除染をして砂浜のようになった隠居の庭の隅に、三春ネギのほかに二十日大根の種をまいて菜園を再開した。すると、春にはネギにも二十日大根にも虫がついた。菜園を始めた20年近く前から毎年繰り返される現象で、収穫できる野菜は虫にやられて半分以下、というときもある。歩留まり率の高い低いは虫次第だ。

 ネギ苗にも大根の苗にも3~5ミリほどの黒い虫がつく。ネキリムシ(根切り虫)の一種、カブラヤガの幼虫だ。初齢虫は夜昼なく活動して葉を食害する。大きくなると昼間は土中にひそんで、夜、ネギの根元を食いちぎる。
 
 このカブラヤガの幼虫のほかに、ニンジンの葉を食べるキアゲハの幼虫、キャベツの葉裏に卵を産み付けるモンシロチョウ、そして土中にトンネルをつくるモグラ、真冬に白菜を食いつくすヒヨドリもいる。
 
「昔野菜」の三春ネギは、風にも弱い。先の日曜日(9月27日)早朝、隠居で土いじりをして、ネギと辛み大根に追肥をした。ついでに大根の幼苗を間引きし、風に折れて切れた三春ネギの葉を1本、持ち帰った。折れたネギの葉は刻んでみそ汁に散らした。軟らかかった。三春ネギは、白根もあおい葉も軟らかい。

 同じ時刻、庭の石の上にミヤマアカネの雄が羽を広げて休んでいた=写真。胴体が真っ赤なのはアキアカネと同じだが、寸足らずのうえに、羽に褐色の太い帯がある。そこに重なる縁紋(これは「有害振動防止装置」だとか)が赤い。あとで調べてミヤマアカネと分かった。曇天だが気温が上がるのをじっと待っていたのだろう。渓谷へ行くたびに何かと出合い、虫への愛憎が生まれる。

 話は変わる。いわきの平地(夏井川下流域右岸の平菅波付近)に9月下旬、コウノトリが飛来した。フェイスブックに写真が載った。千葉県野田市に飼育施設「こうのとりの里」がある。そこから若鳥3羽が7月下旬、放鳥された。そのなかの1羽、雌の「未来(みき)ちゃん」が宮城県へ移動したあと南下し、いわきに滞留している。

 めったにない機会だ。ふだん使っているカメラのほかに、望遠レンズ付きのカメラを車に持ち込むようにした。見たこともない大型鳥が電柱なんかのてっぺんにとまっていたら、コウノトリかもしれない。

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