2018年2月7日水曜日

いわき昔野菜フェス・上

 早春恒例のいわき昔野菜フェスティバルが日曜日(2月4日)、中央台公民館で開かれた。昔野菜弁当付きで参加費1000円だったが、定員100人に近い人が参加した。市民団体のいわき昔野菜保存会が主催した。
 午前中は生産者による栽培講座、藁(わら)納豆づくり講座が行われた。昼に昔野菜弁当を食べたあとは、初回2011年からの講師、江頭宏昌山形大農学部教授が「『伝える』意味を改めて考える」と題して講演した。保存会の一員なので、昼の催しに続いて夜の懇親会にも参加した。
 
 きょう(2月7日)は昔野菜栽培講座について。保存会のメンバーでもある農業川内一浩さん(錦町)が、枝豆のアオバタ・春野菜のおいしい菜・種ではなく株の“分げつ”で増えるモテネギの栽培体験を話した=写真。
 
 川内さんはサラリーマン生活のあと農業を継ぎ、4年前から本格的にいわき昔野菜を栽培している。畑の面積7反のうち6反(1800坪=5950平方メートル)を昔野菜の圃場(ほじょう)にした。発掘された昔野菜73種類のうち38種類をつくっている。今年(2018年)は60種類の栽培を目指す。「種を採るのが目的」だという。保存会の「種の管理人」でもある。
 
 体験談の一部――。アオバタは6月1、15、25日の3回に分けて種をまく。収穫時期を一斉にではなく、少しずつずらすためだ。おいしい菜は春の味。菜の花がおいしいらしい。茎は指で折り取る。すると、これは私の経験でもあるが、次から次にわきから“やご”=菜の花が出てくる。白菜で試したことがある。“やご”のおかげでしばらくやわらかい菜の花を楽しむことができた。
 
 モテネギは、1本が10本くらいになる。植える時期が決まっている。5月連休明けから月末にかけて、株をバラバラにして10センチ間隔で植える。畑に植えたままにしておけば1年中食べられるという。昼にトン汁がサービスされたが、それにモテネギが入っていた。とてもやわらかい。やわらかさがモテネギの個性だろう。
 
 保存会のメンバーの共通認識は、「種は市民の共有財産」。昔野菜は大規模流通システムにのらなかった、いや排除されたからこそ、“自産自消”と“お福分け”のなかで種などが伝承された。「地域の文化財」といわれるゆえんだ。規格化された野菜にはない個性がある。その一端が栽培講座からも感じられた。

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