知人から、いわきのハマの水産加工場でつくられた魚の干物をもらった。次の日、別の知人がマチで売っている魚介乾燥品(つまみ)を持ってきた。どちらにも「添え状」があった。
加工業者の添え状=写真=は、地場の魚を使えない悔しさがにじんでいた。「平成25年10月より、小名浜港で試験操業が始まり、県の放射性物質検査で安全が確認された対象8魚種(ミズダコ、ニクモチ、メヒカリなど)が、スーパーなどの店頭に並ぶようになりました」
しかし、「加工部門には、まだ、試験操業の魚は、流通していません」。だから、というべきか。「東日本大震災からいわき市の水産業が復興へ向かう大事な試験操業ではありますが、引き続き、当店では、お客様の気持ちを第一に考え、北海道などの安全な地域の魚を加工し、販売しております」
マチの店の添え状には「当店の商品は全て、放射性物質の基準値を確認し安全と認められたものです。(略)ひものやみりん干し等の干し物は乾燥機を使って仕上げておりますので、御安心くださいませ」
漁船が海に出て操業し、水揚げして市場でセリにかけられたものが店に並ぶ――私たちが魚を口にするまでの流れだが、福島県ではスズキ・カサゴなど12種類を除いて、97種の出荷制限が解除された(県、県漁連のホームページ=1月17日現在)。
私は、山里で生まれ育ったこともあって、魚にはあまり食指が動かない。唯一例外がカツオの刺し身だ。いわきに移り住んでカツ刺しのうまさにびっくりし、そのために根っこを生やしたといってもいいほど、夏は毎週、「カツ刺し」を口にする。
そんな人間からみても、魚の出荷制限があらかた解除された状況は喜ばしい。が、加工部門には地場もの、つまり「常磐もの」が回ってこない。添え状から魚介類の流通量の少なさ、加工業者の苦衷がうかがえるのだった。
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