日曜日(2月5日)、中央台公民館で開かれたいわき昔野菜フェスティバルの昼食弁当は、「五目飯」「のっぺい汁」「のりまめの豆もち」「ひやしまめ」「里芋のじゅうねんだれ」「おくいもとあおばた豆の焼きコロッケ」「むすめきたかの白玉ぜんざい」だった=写真。のりまめ、ひやしまめは大豆、おくいもはジャガイモ、むすめきたかは小豆の一種だ。
22年前、いわき市がいわき地域学會に調査・編集を委託して『いわき市伝統郷土食調査報告書』を発行した。同書の校正、一部調査にかかわった。「五目飯」と「のっぺい汁」「豆もち」はこの報告書のレシピに従って作った。で、「在来野菜と伝統郷土食」についてミニ解説を――主催のいわき昔野菜保存会の仲間が言うので、報告書を読みなおして役目を果たした。
「五目飯」は祝い事や法事のときにつくる。酢を用いたちらしずしで、生のものは一切使わない。「ちらし」は「災いをちらす」にかけている。「のっぺい汁」も法事につくる。「はちはい」ともいう。東北地方では普通だが、九州・延岡でも食べられる。そのわけは――。江戸時代、磐城平藩を治めていた内藤氏が延岡藩に転封され、家臣の食文化も延岡にもちこまれた。その子孫が今も法事には「のっぺい汁」をつくる。そんなことを話した。
イベントが終わったあとの懇親会で、江頭宏昌山形大教授と「ごんぼっぱ」(オヤマボクチ)の話になった。阿武隈高地の山里では、ちょうど今ごろ、ごんぼっぱをまぜこんだ「凍みもち」をつくる。夏場、小腹がすいたときの「コジュウハン(小昼飯)」、あるいは子供のおやつになる保存食だ。
市販の本や伝統郷土食調査報告書には、凍みもちは水につけてやわらかくしてから食べるとあるが、子どもはそんなまどろっこしいことはしない。硬いまま火にあぶり、表面がキツネ色になったら口にする。せんべいのようにカリッと砕けて、「ごんぼっぱ」の香りが広がる。ああ、急に今、食べたくなった。今度、山里の直売所に行ったとき、売っていたら買おう。まだ歯は大丈夫。
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