わが家で食べる鶏卵は川内・獏原人村の生産者が持ってくる。納豆は、それを扱うことで手数料が運営資金になる授産所の人が届けてくれる。質・味はもちろんだが、鶏は平飼い、授産所の支援になる――ということで、震災前から買って食べている。
鶏卵は週に1回。納豆は月に1回。値段は市販品よりちょっと高い。わが家をステーションにして、何軒かが契約している。品物が届くと取りに来る。こちらから届けることもある。そのときには運転手を頼まれる。
食でもなんでも“べき論”者ではない。安ければいいだけの消費者でもない。フェアトレードには興味がある。それに近い鶏卵、納豆、それから「シャプラニール=市民による海外協力の会」のフェアトレード商品。そのくらいならわが家でも扱える。
6年前の原発震災のあと――。川内の鶏卵を食べていた知り合いが、パタッと買うのをやめた。生産者が専門機関で放射線量を測り、問題はないというデータを得ても安心できなかったのだろう。それはしかたがないことだ。一方では最近、若い人がこの鶏卵を買って食べるようになった。
きのう(2月16日)、納豆が届いた。カミサンにいわれるまま、運転手になってある寺へ出かけた。スイセンが暖かな午後の光を浴びていた=写真。いわきの平地は梅が満開の早春だが、阿武隈の山里はまだまだ冬。先週の2月10日朝、鶏卵の生産者から電話が入ったのを思い出す。「雪で出られないので配達を休みます」
鶏卵、納豆とも、取りに来る人、届ける人との関係は、モノの売り買いだけで終わらない。「納豆コミュニティ」「鶏卵コミュニティ」といったものが形成されている。
きのうはお寺の奥さんからたくあんをもらった。前にもこの時期、ちょうだいしたことがある。砂糖を使わずに柿の皮で漬けたからすぐ食べるように、ということだった。帰ってくると、今度は別の人が納豆を取りに来た。「魚を食べて」と、新聞紙に包んだものを手渡された。
鶏卵と納豆のほかには、月に1回、玉ネギをベースにしたオリジナルドレッシングが届く。パルシステムからも週1回、2軒分が宅配される。いずれも便宜的にステーションになっているだけだが、こうしてたまにはたくあんや魚の「贈与」にあずかる。
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