2017年5月15日月曜日

いわき昔野菜保存会会報「ルート」

 表紙の写真は大豆。いわき昔野菜保存会の会報「ROOT(ルート)」第2号が発行された=写真。「いわき昔野菜を知ろう!」コーナーでは、いわきの大豆が紹介されている。常磐藤原町で栽培されている「なっとう豆」を初めて知った。小粒の大豆で、その名の通り、自家消費用に藁苞(わらづと)納豆をつくっていたという。
 会報名の「ROOT」には二つの意味が込められた。一つは「根っこ」。きれいな花を咲かせ、おいしい実をつけるには、強い根が必要だ。「私たち保存会も、強い根をはり地域に根差し、派手ではなくても着実に活動の輪を広げていくことを目指します」と編集後記にある。

 もう一つは、「結びつき」や「ふるさと」を表す「ルーツ」。「「いわきの人々にとってルーツと言える作物を通し、人々を結びつけていきたい、そう願っています」。A3二つ折り12ページ、フルカラーと、見るだけでも楽しいつくりになっている。
 
 平下高久地内に保存会の「昔野菜専用畑」がある。今年度(2017年度)は約50種類を栽培する予定だという。どこにどんな昔野菜を栽培するか、“設計図”が会報に載っている。小豆の「むすめきたか」がある。サツマイモの「太白」がある。いわき市南部の山間地・田人町で栽培されている、地這いの「根室きゅうり」がある。ソバもある。
 
 きのう(5月14日)夕方、いわき駅前再開発ビル「ラトブ」の産業創造館で同保存会の通常総会が開かれた。今年度は新たにそば打ちと納豆づくりをする。体験型イベントで、会員の手でソバと「なっとう豆」の種をまき、収穫・加工・調理をして食べる。
 
 総会後の懇親会では、ある人から「太白」を使った干し芋づくりのプランが披露された。干し芋の本場は茨城県だが、いわき市でも作っている人がいる。甘さ控えめの「いわき干し芋」ができる。昔野菜ならではの少量・季節限定食品になる。
 
 会報にはほかに、「レンコン復活プロジェクト」が載る。渡辺町でほそぼそと栽培されてきたレンコンがある。一度は絶滅したと思われていたのが、種が残っていた。しかし今、それも消滅の危機にある。保存会の手でなんとか絶滅を食い止めたい――暮らしの伝承郷の池を使って復活作戦が進められている。いわきの食のルーツに結びついた活動の輪が、こうしてまた一つ広がった。

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