ゴールデンウイークをはさんで、郊外の風景が一変した。ほとんどの田んぼに水が張られた。田植えを終えたところも少なくない。いつものことだが、“動脈”の夏井川は田んぼに水を取られて、ところどころ川底をさらしている。
夏井川と田んぼの背景にある小丘群もヤマザクラのピンクが消え、広葉樹の若い緑から針葉樹の黒い緑まで、この時期だけの青葉のグラデーションに変わった。
わが家の食卓に欠かせない漬物も一新した。冬は白菜漬け、夏は糠漬け――1年の流れを単純化すると、そうなる。
ゴールデンウイークを目安に糠漬けを始め、糠床が冷たく感じられるようになる12月には、白菜漬けに切り替える。
白菜は小さな甕に漬け込む。2玉、無理して3玉でいっぱいになるので、一冬に4~5回は白菜を買ってくる。八つ割りにして天日に干し、葉の間に塩をまぶして十字に重ねる。段の間には刻んだ昆布とユズの皮、鷹の爪。最後に重しを載せる。数日後にはもう食べられる。糠床はこの間、食塩のふとんをかぶって冬眠している。
今年は暖冬だった。3月半ばに白菜漬けが切れた。春に白菜を漬けると、すぐ酸味が増す。ゴールデンウイークまでの間、スーパーで売っている袋入り、あるいはパック詰めの漬物でしのぐ。ありあわせの野菜で浅漬けをつくることもある。が、なんとなく代用品を口にしているようで落ち着かない。
ゴールデンウイーク後半最初の祝日(5月3日)、糠床を取り出した。食塩のふとんをはぎとり、新しい糠を加えて塩分を調整する。そのために、捨て漬けの野菜を入れる。同時に、キュウリを漬けて“試食”する=写真。カブも、ニンジンも、大根も漬ける。
まだ、塩分が濃い。これから、しゃけの皮や肉じゃがの残り汁などを加えていけば、野菜から染み出た水分と合わせて糠床がゆるみ、風味とうまみが増すだろう。しばらくは糠床との“対話”が続く。
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