2017年5月3日水曜日

孫が三角巾をしてやって来た

 ゴールデンウイークが始まって2日目にけがをしたという。おととい(5月1日)夕方、孫が父親に連れられてやって来た。小2の下の子が首から提げた三角巾で左腕を支えている=写真。
 日曜日、近所で遊んでいるうちに手首でも傷めたらしい。夜になっても痛みがおさまらない。親が磐城共立病院へ連れて行ったら、骨折していた。見た目には、骨がポキッと折れたというよりは、ひびが入ったような感じだ。

 血は争えない――三角巾の姿を見て、真っ先にそう思った。飛んだり跳ねたりするのが得意なばかりに、過信してけがをする。孫の父親である息子が小3のときに、学校の雲梯(うんてい)から手をすべらせて転び、肘を骨折して共立病院に入院した。

 私自身も小学校に上がる前、積み重ねられた石材の上で転び、石の角で額を割って血だらけになった。

 60年以上たった今も、転んで石の角に額をぶつける瞬間を、噴き出すように血が流れ出たことを、だれかに抱きかかえられてどこかへ連れて行かれたことを、鮮明に思い出す。年上のガキ大将がいて、子どもが10人ほど群れて遊んでいたときの、ちょっとした不注意だった。指で額の真ん中をなぞると、鼻の方へと頭蓋に“溝”ができているのがわかる。

 小学校の4年生あたりから、町の映画館へ通うようになった。東映の時代劇と日活のアクション映画が全盛の時代だった。市川歌右衛門(北大路欣也の父親)の「旗本退屈男」を覚えている。歌右衛門扮する「早乙女主水之介(もんどのすけ)」は、額の真ん中の生え際から左斜めに「三日月傷」がある。おれと同じだ――なんて思いながら見たものだった。
 
 下の孫は、じじバカだけでなく元陸上競技部員の目でみても足が速い。来週土曜日に行われる運動会では、1年生のときに続いてリレーの選手になる、はずだった。腕が振れる状態ではないから、辞退するしかないか。その報告に来たのだろう。カメラを向けると、けがをしているのにドヤ顔になった。ま、“小事”ですんだのだ。“小事”を経験したからには、しばらく“大事”はやってこない、そう思うことにした。

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