2017年5月17日水曜日

阿部幸洋新作絵画展

 ときどき街の画廊へ出かける。作品展の案内状が届く。新聞に記事が載る。自分の興味のある作品展だけではない。カミサンにいわれて「アッシーくん」を務める。車の中で待っているのもシャクだから、のこのこついて行って作品を見る。キルトや焼き物に目を見張ることもある。
 阿部幸洋新作絵画展の案内が来た=写真。初日の5月13日夜、オープニングパーティーが開かれた。場所は平のギャラリー界隈。オーナーとも阿部とも45年以上のつきあいだ。共通のキーワードは「草野美術ホール」。オーナーは喫茶店を開いたばかり。阿部は19歳で同ホールで初個展を開いた。私も新聞記者になって1年にも満たなかった。

 パーティーに参加した20人ほどのうち、3分の1は“同ホールOB”だった。街の画廊でオープニングパーティーを開くのは、私が知っている限りでは、“同ホールOB”でプロの峰丘と阿部くらいだろう。

 阿部は37年前の1980年、結婚と同時にスペインへ渡った。奥さんに支えられて制作に没頭した。その人生のパートナーが2009年秋、急逝する。以後、マネジメントその他の雑用もこなさなければならなくなった。

 阿部が住んでいるスペイン中部、ラ・マンチャ地方のトメジョソに、アントニオ・ロペス・トーレス美術館がある。その美術館で、つまり油絵の本場で3年前、阿部の個展が開かれた。スペイン現代美術の世界で阿部が画家として評価されたことを意味する。

 一貫してラ・マンチャ地方の風物や静物を描く。今度も同地方の建物や路地、壺などを描いた作品を展示した。紫色が印象的だった。「バイオレット? 前から使ってるが、今回は前面に出した」と阿部。
 
 作品を際立たせる紫色から、ムラサキアケビの皮を連想する。「おいしい絵」だ。デフォルメされた木の人間くささ。昔から阿部の絵を見てきた友人と意見が一致した。「メルヘンっぽいね」。静謐な絵画世界なのに、子どもたちの歓声が聞こえてくるような温かさがある。22日まで。

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