玄関わきの台所の壁にツタが茂る。見た目は涼しげだが……。ちゃちな木造家屋なので、ほっとくとツタで屋根が壊される、なんて事態になりかねない。ツタは常緑のアイビー、つまりセイヨウキヅタだろうか。
カミサンがツタの剪定を始めた。壁を這い、庇(ひさし)を伝い、屋根にまで茎がからまっている=写真。茎には細根がびっしり生える。これが曲者らしい。ちょっとしたすき間にも侵入する。ここは根元からバッサリやった方がいい。大人の二の腕くらいに太くなった茎を、のこぎりで切断した。
カミサンの記憶では、ある小学校のバザーに出ていた鉢植えを買ってきて、玄関前の雨樋の吐き出し口のそばに植えた。最初は茎が壁を這う程度だったのが、どんどん生長して玄関の屋根から台所の屋根までびっしり緑で覆うようになった。
花どきには虫がいっぱいやって来る。アシナガバチが軒下に巣をつくる。スズメバチも屋根直下にある空気抜きの塩ビ管を出入り口にして、屋根裏に巣をつくる。それだけではなかった。剪定してわかったのだが、茎で壁のトタン板が盛り上がり、雨樋がふさがれ、瓦が持ち上げられていた。
ナガミヒナゲシというオレンジ色の花が今、あちこちの道端に咲いている。爆発的な繁殖力をもつ侵略植物だという。花が咲く前に駆除して拡散するのを防ぐ必要があるという。
度が過ぎると害になるのは、ツタも同じ。鉢植えの観葉植物から露地植えに切り替えた瞬間、野性がよみがえった。はがした茎のあとが黒ずみ、茶色い細根がまだらに残っている。今のままだと見苦しい。茎が乾いて枯れたら壁からはぎとり、ブラシか何かで細根をゴシゴシやってこそげ取らないといけない。
「つたの絡まるチャペル……」のような美しさとは程遠い、木造住宅のツタの現実。郊外にあって人の住まなくなった家も、手をかけないと雑草に囲まれ、つる性植物に覆われて朽ちていく?
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