いわき市を代表するキノコ研究家の一人が添野町に住んでいる。小川勇勝(たけかつ)さん、78歳。平成14(2002)年に『野生のきのこ
17年間の山歩きで探し当てたきのこ生息地と写真撮影の記録』を自費出版し、翌年2刷、3刷を出した。
カミサンが添野の「野らフェス」に行きたいという。朝日新聞に折り込まれるいわきのフリーペーパー「朝日サリー」で6月18日の開催を知った。同紙によると、主催者の小川慶子さんは東農大を卒業、ハンバーガーショップやパン屋、イタリアンレストランなどに勤めたあと帰郷し、平成22年6月に焼き菓子やケーキの受注販売を始めた。
小川さんは同じ年、実家の一角に「野らぼう」という店を開業、以後、6月と11月の年2回、実家の敷地内で「野らフェス」を開いている。
添野町、小川さん――とくれば、もしかしてキノコの小川さんの娘さん?となる。「父と娘かも」という“仮説”を立てて出かけた。山すその旧道に駐車の列ができていた。しばらく歩いて会場の「野らぼう」に着く。アリオスパークフェスと同じようなフリーマーケットで、おしゃれな若い家族でごった返していた=写真。出店者に一人、知り合いがいた。
キノコの小川さんが首からカメラをぶら下げて歩いている。小川さんとは、いわきキノコ同好会が旗揚げする前に会い、仲間とともに酒を酌み交わしたことがある。小川さんは同好会には加わらなかったが、冨田武子会長らとは交流が続いている。
最近は、山へはあまり行かないという。年齢的なこともあるが、原発事故が愛菌家の意欲をそいだ。「私も写真を撮るだけですよ」。キノコの情報交換をしたあと、「野らフェス」の話になる。仮説が当たっていた。「三番目(の娘)がやってるんです。今度で9回目。宣伝もしないのに、人が来るようになって」とうれしそうだった。
家の北には道をはさんで山が、南には青田が広がる純農村。ここに、ファッショナブルな服装の若いママ・パパが幼い子を連れてやって来る。その魅力は何? 手作りの食べ物や雑貨、アクセサリーを売っているから? それもあるだろうが、田んぼにカエルやザリガニがいるムラの、人間と自然の関係が調和したのどかな景観に身をおく安心感、非日常感に引き寄せられるのでは?なんて愚考した。
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