きのう(6月1日)の続き――。アメリカのモンタナ州立大学ジャーナリズム学部の女子学生2人のホームステイを引き受けた。いわきには5月28日から31日まで4泊した。学生たちは日中、いわき市内と双葉郡内を巡って取材を重ね、29、30日に日本の市民の暮らしを体験した。
ホームステイ2日目の晩は、“孫”の高3女子が、英語教諭でもある母親に連れられてやって来た。母親は初日の晩も来て、会話を助けた。2人は“孫”と4歳しか違わない。
よくよく聞くと、夏休みを利用した取材旅行だった。1人は同学部を卒業したばかり。フォトジャーナリストになるために「モンタナを出たい」という。“孫”も大学進学のためにいわきを離れる考えでいるようだ。若者同士、通じるものがあったのか、しばらく質問をぶつけあっていた。
アメリカ人を受け入れるのは初めてだった。こちらが何かを説明すると「ヤー」。「イエス」よりは親しみやすい感じだった。おかしかったりおどろいたりすると、「オー・マイ・ゴッド(ガッ)」。「ヤー」と「オー・マイ・ゴッド」が耳に残った。
食卓には、彼女たちが台所で一口大にまとめた=写真=そうめんが器に並んだ。それをタレにつけて食べる。はしの使い方が思ったよりうまかった。
こんなこともあった。31日の朝、2人を集合場所の市役所本庁舎前まで送り届けて帰路に就くと、ケータイが鳴った。カミサンが応対した。「パスポートはコピーでは駄目ですか」。話がよくわからない。間もなく同行の市役所職員が出て、「ホームステイをした1人がパスポートを忘れた」という。オー・マイ・ゴッド。
本物のパスポートでないと廃炉作業が行われている1Fには入れない。ケータイをかけてきたのは、取材旅行のスケジュールを組み立てた同大OBの日本人ドキュメンタリー写真家で、あとで聞くと東電のスタッフにかけるところを、間違って私のケータイにかけてきたのだった。それで正解だったのだが。
マイクロバスはまだ平の市街にいた。わが家は1Fへ向かう国道6号の旧道沿いにある。運転手はそのへんのルートは知っているはずだから、旧道に入ってくるようにうながす。その間に、カミサンがゲストハウス(故伯父の家)に入って彼女のバッグからパスポートを取り出す。私は家の前の歩道に立ってマイクロバスの到着を待つ。
カミサンが歩道に戻ってくるのと、マイクロバスが到着するのがほぼ同時だった。カミサンがパスポートを掲げるとバスの中で歓声が起きたようだった。
唯一、スマホの通訳アプリも不要、日本語で通じたのが、車のCDをアイルランドのエンヤに替えたとき。実は、1人は名字が「マクドナルド」、アイルランドにルーツがあるのではと考えて、エンヤのCDをかけたのだ。「これ、エンヤ」というと、「ヤー、エンヤ」うれしそうな声が返ってきた。エンヤはやはり世界的なミュージシャンだった。アイルランドの音楽の話でもすれば、もっと盛り上がったか。
0 件のコメント:
コメントを投稿